今月の
特集

2024.7.1

青年たちが見つけた!「三者」の魅力

第45 回弥勒山「三者のつどい(春班)」
 5月17 日~ 19

障がいのある人、その家族・介護者・介助者、ボランティアの「三者」が、お互いの立場を尊重し、支え合いながら、すべての人が生まれてきてよかったと思える地域社会をつくろう。そんな思いを込めて、昭和52 年(1977)に発足した「三者の会」。その3年後、昭和55 年(1980)に第1回特別参拝弥勒山「障害者のつどい」(後の弥勒山「三者のつどい」)が開催された。

それから44 年もの月日が流れた令和6年5月17日、今回もたくさんの「三者」が弥勒山につどった。本格的なプログラムが行われる2日目、拝殿での全体会、参加者の希望に合わせて楽しめる分科会と続き、1番大きな盛り上がりを見せたのがお祭り広場だ。元世界一のプロが繰り出すヨーヨーパフォーマンスや、各支部や地域の「三者の会」によるステージ発表が行われ、会場内では並行して障がい者の手作り作品の販売もあった。しめくくりとなったダンスタイムでみんなを包んだのは圧倒的な一体感。会場のいたるところで「三者」の笑顔が弾けた。


互いに手を取り、ダンスタイム♪

そんな弥勒山「三者のつどい」の魅力にせまるべく、ボランティアとして参加した青年に話を聞いた。

    1. INTERVIEW.01―私は生まれたときから難聴で、まわりの音がかすかにしか聞き取れません。続きを読む
    2. INTERVIEW.02―3年前に亡くなったぼくの祖父は、30代のときに交通事故にあい、それ以来ずっと車いすで生活していました。続きを読む

 

INTERVIEW01


大阪府 N.Mさん 22

|   思いやりから生まれた勇気

私は生まれたときから難聴で、まわりの音がかすかにしか聞き取れません。それでも、家族や友達の支えがあって、小中学校、高校と、ろう学校ではなく聞こえる人と同じ学校に行き、今は福祉関係の大学に通っています。

弥勒山には、幼い頃から毎年参加してきました。日常生活ではなかなか出会えない、他の地域に住む人たちと仲良くなれるし、再会したときに声をかけてもらえるのがうれしいんですよね。今年、母から「『三者のつどい』っていう、障がいがある人でも無理なく参加できる弥勒山があるよ』と聞いて、今回初めてボランティアとして参加しました。

みんなの力になるぞ!と思う一方で、うまくできるかなって不安もありました。でも、初対面の人でも、私が聴覚障がいだと分かるとゆっくり話してくれたり、中には手話をまじえてくれた人もいて、一生懸命コミュニケーションをとろうとしてくれるみなさんの思いやりが、とてもありがたかったです。そんなまわりの人たちの気持ちのおかげで、食堂奉仕をしたときには自分から話しかけたり、介助したり、積極的に関わり合うことができました。

これまで私は、相手の言葉を聞き間違えたらどうしようという不安から、自分の意見や気持ちを言えないことがたくさんありました。そのせいで、「私もそう思ったのに……」とか、「本当は違うんだけどな……」とか、まわりにちゃんと伝わらないモヤモヤをずっと抱えてきたんです。

でも、今回の弥勒山でたくさんの人と交流して、今まで本当にもったいないことをしてきたんだと強く感じました。だから、自分の意見をしっかり言うようにしたいし、大学のクラスメートにも自分から話しかけて交流の輪を広げたいと思います。その勇気をもつのは簡単なことではありませんが、社会福祉士になって、聴覚障がいをかかえた子どもたちの将来を広げていきたいという夢に向けて、頑張っていきたいです。


障がいのある人を、時にはそっと見守るのもボランティアの心得

※インタビューの内容と写真は関係ありません

INTERVIEW02


広島県 Y.Kさん 中学3年生

|   祖父が大好きだった、みんなが自然に支え合う弥勒山で

3年前に亡くなったぼくの祖父は、30代のときに交通事故にあい、それ以来ずっと車いすで生活していました。その祖父が毎年楽しみにしていたのが、弥勒山「三者のつどい」。うれしそうに弥勒山での出来事を話す祖父を見て、いつか行きたいなと思っていたんですが、コロナ禍で中止になったり、部活と重なったり、なかなか行く機会に恵まれませんでした。それが今年、ようやく行けることになったんです。亡くなった祖父の分まで楽しもうと、祖母と父と一緒に参加しました。

今回のぼくの役割は、父と同じエスカレーター奉仕。足が悪い人が多いので、事故が起きないように十分な間隔をあけること、元気よく挨拶することを心がけました。すると、みんなが「ありがとう」とか、「ごくろうさま」とか声をかけてくれたんです。そのひと言に元気をもらえたし、祖父がここでいろんな人から助けてもらっていたことを思うと、その恩返しが少しできたみたいでうれしくなりました。参加者1人ひとりが自然に支え合っている弥勒山。祖父がいつも楽しみにしていた理由がよく分かりました。

ぼくは、友達と接するときに、言い方がキツくて相手を傷つけてしまったり、ケンカになってしまったりすることがありました。でも、ここでみんながやっていたように、相手の立場や気持ちになって考えられたら、そんな自分を変えられるんじゃないかと感じました。下山したら早速、取り組んでいこうと思います。


初めて参加して感じた思いを発表


 

まだまだ魅力てんこ盛り! -参加した青年たちの声-

交通事故が原因で、杖をついて歩いている母。幼い頃は友達のお母さんと少し違う母を恥ずかしく思っていたことも……。でも、保育士になって子どもと接するようになったとき、障がいに負けず、私たちきょうだい3人を育ててくれた母のすごさに気がついた。そんな母がいつもより笑顔になる場所、それが弥勒山「三者のつどい」。母と一緒に、ここに来ることが私の親孝行です。(20 代・女性)


みんなで踊って盛り上がろう!

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あるテーマパークで仕事をしている私は、日頃からたくさんの人とふれ合っています。その中で、障がいのある方への接し方はもちろん、少しでも楽しんでもらおうとお客さんに寄り添った対応ができるようになったのは、弥勒山「三者のつどい」のおかげ。その実感を胸に、今回は実行委員に初挑戦。バタバタだったけど、みなさんの「良かったよ」「ありがとう」の声に元気をたくさんもらいました。(30 代・女性)


今年も家族で一緒に参加できて良かったね

※インタビューの内容と写真は関係ありません