今月の
特集

2023.7.1

第29次日墨青年文化交流訪日団

より良い社会をつくろうと、青年部が主体となって展開している「Ourおせっかい」。今年は4月29日を中心に、全国各地で社会貢献活動を行った。遠く海を越えたメキシコで約30年前に始まった「日墨青年文化交流訪日団」も、霊友会の活動から始まった社会貢献活動である。

発端は1994年7月。「次代を担う青年の育成」に尽力された恩師小谷喜美先生の志を受け継ぎ、メキシコの地でも広く社会に貢献する人材を数多く生み出していこうと、メキシコ合衆国グアナフアト州グアナフアト市で、メキシコ霊友会とメキシコ文化省が「青年の主張全国大会」を開催。すると、当時のグアナフアト州知事がこの取り組みに深く感動し、メキシコ霊友会に対して同州内の青年に対する幅広い社会教育への協力を要請した。こうして、霊友会青年部とグアナフアト州青年教育機関を主催者とした「日墨青年文化交流訪日団」を実施することになったのである。

この取り組みの目的は、グローバルな視点と異文化に対する理解力、適応力をもった青年を育成すること。10年前に団員として参加し、今回は団長として再び日本を訪れたアントニオ・デ・ヘスス・ナバロさん(33歳)はこう語る。「私にとってこの訪日団は自分の人生を見直す大きなきっかけになりました。日本ではみんなが規律正しく、他者を尊重しています。日本の良いところを取り入れ、メキシコの国を良くしていきたいと政治家を志すようになり、今、私はグアナフアト州青年開発支援局の局長として働いています。そして今回、メキシコの将来を担う有望な青年たちを日本に連れてこれたことは大きな喜びです」。

第29次「日墨青年文化交流訪日団」は11泊12日(5月11日~22日)の行程の中で、広島原爆ドーム、京都・奈良の神社仏閣、靖國神社など、近代の日本の成り立ちや文化を知る上で欠かせない、様々な場所を訪れた。5月20日には、日本の霊友会青年部との交流会を釈迦殿小谷ホールで開催。日本の青年部の社会貢献活動について聞いたり、互いの国の料理を振る舞ったりしながら異文化交流を楽しんだ。

メキシコの青年育成に大きな役割を果たしてきたからこそ、今日まで続いてきた「日墨青年文化交流訪日団」。彼らにとって、日本で見聞きするものすべてに自国をより良くしていくためのヒントがある。今回参加した“アミーゴ”(スペイン語で「仲間」)たちも、一人ひとりが様々な思いを巡らし、帰国後に起こすアクションを見つけた。

広島市にある原爆ドームを訪れた

Interview

|   「和の心」を母国にも根付かせたい


アドリアナ・エレラさん 24

地域や社会をより良くしたい。大学時代の社会活動研修を通じて、そのような思いを強くもったのですが、勉強や仕事が優先になってしまい、なかなか行動に移せない自分にモヤモヤしていました。そんな中、インターネットで「日墨青年文化交流訪日団」の存在を知り、すぐに応募したんです。

日本に到着後、主に公共交通機関で移動していたんですが、すぐに日本の素晴らしい文化と出会いました。それは電車やバスを整列して待ったり、降りる人を優先したりすること。中でも若い子がお年寄りに席を譲ったときは驚きました。また、小学生の通学をボランティアで見守る地域の大人たちがいて、子どもたちだけで通学している様子は、メキシコではまず見られません。そんな光景を見聞きして、日本には、まわりの人たちを思いやり、お互いに助け合いながら生きていこうとする心が根付いているのだと感じました。

メキシコでは、十分な教育を受けられず、安易に犯罪に加担してしまう若者も少なくありません。だから帰国後は、中学生や高校生たちがもっと意欲をもって生きていけるような支援プログラムへの参加を考えています。今回経験したことを多くの人に伝えながら、日本のような「和の心」をもった青年の育成に寄与していきたいです。

靖國神社遊就館で説明を受ける一行

靖國神社に参拝し、献花を行った

|   次に続く青年たちにバトンを


ルイス・ダビット・アンヘルさん 24

日本は第二次世界大戦での敗戦という苦しい経験を乗り越えて、世界経済をけん引し、先進技術を開発してきた国。ここなら自身を向上させるものがたくさん学べると思い、参加しました。

その考えは正しかった! 日本に着いて間もなく、食事をとろうと立ち寄ったレストランでそう思ったんです。注文はタブレットでできるし、お手洗いに行けば水洗も水道もセンサーが感知して自動で動く。その後に乗車した新幹線は、全国でシステムが共有化されていてスムーズに移動できるし、乗り換え先の運行状況もアナウンスされるんです。様々な技術が人々の生活を豊かにするために生かされているのを目(ま) の当たりにして、メキシコも、すべての人が暮らしやすい国にしていきたいと感じました。

帰国後は、そのための仕組みづくりをボランティアとして実現していきたいです。「日墨青年文化交流訪日団」の素晴らしさをまわりの人に伝え、次に続く青年たちにバトンを手渡していきます。

霊友会青年部との交流会ではお互いの国の文化にふれあった

言葉はいまいち分からないけど、心が通じ合うから笑顔になれる

霊友会青年部との交流会で挨拶をする団長のナバロさん