今月の
特集

2022.4.30

学校だけじゃ学べないことがある

目の前にある壁を乗り越えたい。一歩踏み出す勇気がほしい。もっと大きな人間に、人の役に立つ自分になりたい。学校だけじゃ学べない、中高生が見つけた大切なこと―。

    1. ■Lesson①—周りについていけない。それって悪いこと?【愛知県 高2 前田紗希さん】
      私は小さい頃から不器用で、言われたこと、教わったことをできるようになるまで人一倍時間がかかります。特に運動が苦手で、一番しんどかったのが中学のときでした。…続きを読む
    2. ■Lesson②—誰だって〝ぼっち〟は嫌だ【福岡県 高2 西川史栞さん】
      昨年、高校入学を控えた私は不安に駆られていました。大学進学を見据えて、指定校推薦が多く、将来の選択肢が広がる高校を選んだものの、同じ中学から行く子がほとんどいない。…続きを読む
    3. ■Lesson③—リーダーってなんだろう【宮城県 中3 佐藤吉永さん】
      必要なのは、統率力と実行力。役割はクラスメイトに規律を守らせ、みんなを仕切ること。そんなイメージに振り回されて、空回りして落ち込む人は意外と多いのかも。…続きを読む
    4. ■Lesson④—友達のこと、どこまで知ってる?【兵庫県 高2 沼田礼恩さん】
      同じ高校に通うHくんという友達がいます。彼とは学校で「宿題やった?」とか、流行りのゲームの話をする程度。他の子と比べて、特別深い関係ではありませんでした。…続きを読む

周りについていけない。それって悪いこと?

〝あきらめない〟精神で成長できた!

愛知県 高2 前田紗希さん

私は小さい頃から不器用で、言われたこと、教わったことをできるようになるまで人一倍時間がかかります。特に運動が苦手で、一番しんどかったのが中学のときでした。

体力をつけるためにという父親の勧めで、バスケ部に入った私。周りの子はどんどん上手くなっていくのに、いくら練習しても全然上達しなくて……。ミスを繰り返して、いつもチームメイトから怒られてばかり。みんなから邪魔だと思われているんじゃないか。無言の圧力を感じて、いつも泣いていました。

2年生でクラス替えがあり、新しいクラスに馴染めなくて教室内で浮いていた私は、いつしかいじめられるように。部活だけでもしんどいのに、教室にいる時間も苦痛になりました。辛くて、授業に出られない時期もあったんです。

心に残った母の言葉

そんなとき、私の背中を押してくれたのが母でした。母はどんなときも前向きな性格。挫けそうな私にこう言ったんです。「周りなんて気にするな」「気にしたってしょうがない」。そして、「毎日お経をあげてみたら?」と……。

そんなこと言われたって、気になるよ!と、最初はイラっとしました。お経も半信半疑。でも、母に言われた通り毎日お経をあげていると、しんどい状況は変わらなくても、頑張ろうという気持ちが少しずつ湧いてきたんです。そして、たしかに、気にしたところで状況が変わるわけじゃない。今の自分にできることを一生懸命やるしかない。そう思えたんです。

あきらめてたまるか! 私は自分を奮い立たせて、バスケの練習に打ち込みました。少しずつ上達するようになり、体力もかなりつきました。そして、中学にはなかったのであきらめていた合唱部に高校では絶対に入りたいと、志望高校を目指して猛勉強。最後までやり抜くことができ、合格することができました。

今は、大好きな合唱に明け暮れる毎日。失敗もたくさんあります。自分が歌うのに精いっぱいで、周りの声とバラバラになってしまったり……。昔の私ならそこで投げ出していたかもしれません。でも今は、周りの声をよく聞いて、みんなに合わせていこうと何度もトライできる。納得のいく合唱ができたときは最高にうれしい瞬間です。好きなことに打ち込めて、本当に楽しい毎日を過ごせています。

最近は、東海・北陸ブロックの「学生のつどい」で積極的に話すことで、コミュ力もついてきました。これからもいろんなことに挑戦して、学校生活を充実させていきます。

誰だって〝ぼっち〟は嫌だ

人見知りだった私が勇気を出せたワケ


福岡県 高2西川史栞さん

昨年、高校入学を控えた私は不安に駆られていました。大学進学を見据えて、指定校推薦が多く、将来の選択肢が広がる高校を選んだものの、同じ中学から行く子がほとんどいない。もし、友達ができなかったらどうしよう。一日でも早くどこかのグループに属さないと、〝ぼっち〟になってしまう……。

迎えた高校生活初日。私は、自分からクラスメイトに声をかけました。元々は人見知りで、初対面の人に話しかける勇気なんてなかった私。そんな私が行動を起こせたのは、子どもの頃から参加してきた霊友会のつどいのおかげです。つどいにはいろんな世代の方がいて、気さくに話しかけてくれる。大勢の前で司会をさせてもらったこともありました。初対面の人と話す訓練が、知らず知らずのうちにできていたのだと思いました。

「どこの中学から来たの?」から始まって、自己紹介をして、「仲良くなろうよ」。すごくドキドキしたけど、自分から話しかけていったことで、いろんな子とLINEを交換でき、すぐに打ち解けることができました。

気軽に話してみよう!

たくさんの友達ができた中で、共通の趣味で意気投合したMさんとは、お互いの家を行き来するほど仲良くなりました。一緒に霊友会をやれたら楽しいだろうな。誘いたいな。そう思うものの、断られたらどうしようと、言えずに悶々としていました。

そんなとき、九州ブロックの「学生のつどい」に参加しました。彼女のことを話すと、「意外と大丈夫なんじゃない?」「気軽に話してみたらいいよ」とみんなが言うんです。

つどいの中で私が一番刺激を受けたのは、友達や周りの人のことを思って真剣にお経をあげているというみんなの発言。私もやってみようと、それまではなかなか毎日あげられなかったお経を、1カ月続けました。その中で、Mさんに話そうという勇気が湧いてきたんです。

つどいのこと、弥勒山のこと、同世代の仲間のこと……自分が感じている霊友会の良さを話し、一緒にやろうよと伝えると、彼女は「楽しそうだね。参加してみたいな」と言ってくれました。

自分から友達作りをし、Mさんに思いを伝えたことで、私は一歩も二歩も成長できた気がします。誰だって、〝ぼっち〟になることや、友達が離れていってしまうことは怖い。でも、怖がらずに踏み出すことで、人は変われる。そう教えてもらいました。これからも、積極的に仲間づくりをしていきます。

リーダーってなんだろう

必要なのは、統率力と実行力。役割はクラスメイトに規律を守らせ、みんなを仕切ること。そんなイメージに振り回されて、空回りして落ち込む人は意外と多いのかもしれません。リーダーの役割は、みんなを引っ張ることだけ? 佐藤吉永さんのエピソードから考えてみましょう。

やっと気づいたリーダーに一番大切なこと


宮城県 中3 佐藤吉永さん

妙一会の頃から支部のつどいやイベントで司会をすることが多かったぼくは、自然と人前に立って話すことが得意になっていきました。中学に入学して先生に学年委員をやらないかと提案されたときも、積極的に挑戦してみようと思えたんです。みんなの前で話すときは、内容がよく伝わるように、話が上手な生徒会長を真似て話したり、クラスメイトにSD(ソーシャルディスタンス)などのルールを守っていない人がいたら、みんなで話し合いの場をつくるようく過ごせるように、できることから取り組んできました。「友達にSD守ってほしかったけど、楽しい雰囲気を壊したくなくて、なかなか言えなかった。提案してくれてありがとう」「これからは気をつけるね」とみんなが言ってくれたときは、クラスの役に立てたんだなと、うれしくなりました。2年生になってからも、引き続き学年委員を務めることにしたんです。

先輩との出会いが変わるきっかけに

昨年12月、「東北学生のつどい」で青年部執行部の安藤草太さんと出会いました。今年3月の宮城県「笑顔まつり」に向けて一緒に準備をする中で、頻繁に会うようになりました。

安藤さんを見ていると、すごいなって思うことばかり。東北の学生みんなを元気にしたいと、あまり活動に参加していなかった学生の子たちに何度も声をかけ、つどいや「笑顔まつり」に誘う。つどいで引っ込み思案の子がいたら、笑顔になってもらえるまで優しく話しかけていく。「笑顔まつり」本番、ぼくたち出演者が緊張していると、面白いことを言って場を和ませてくれる。そんな姿がかっこよくて、ぼくも安藤さんみたいになりたいと思ったんです。

安藤さんと比べると、ぼくは全学年が集まる委員会で、みんなが緊張して発言しづらい雰囲気のときも、特に何もしていませんでした。でも、安藤さんだったらみんなを和ませるはず。そう思い、それからの委員会では、率先して発言したり、冗談を言ってみんなが話しやすい雰囲気をつくるように心がけたんです。クラスでも、以前なら元気がなさそうな人がいてもスルーしていましたが、今では「大丈夫?」と声をかけ、話を聞くように。以前よりも学校のみんなが笑顔になっているなと感じています。

学生のつどいで安藤さんと出会うまでのぼくは、学年委員としてみんなを引っ張ったり、上手に話し合いをまとめることばかりを意識していたかもしれません。それも大事だけど、リーダーとして本当に大切なのは、一人ひとりに目を配り、周りの人を思い、行動すること。そう安藤さんのおかげで気づきました。一度しかない学校生活をみんなが心から楽しめるように、これからも気づいたことを即行動に移していきます。

友達のこと、どこまで知ってる?

「死にたい」と言う彼をほっとけない!ほっとかない!


兵庫県 高2沼田礼恩さん

同じ高校に通うHくんという友達がいます。彼とは学校で「宿題やった?」とか、流行りのゲームの話をする程度。他の子と比べて、特別深い関係ではありませんでした。彼の異変を知るまでは―。

昨年10月、彼が何日もお昼ごはんを全然食べていないことに気づきました。食欲ないんかな? 気になって、家に帰ってからインスタのDM(メッセージ)を送ったんです。「大丈夫?」「なんか相談とかあったら聞くで」。そう伝えると、「何も不安なことはないはずなのに、なぜか毎日、不安で……。自分の気持ちがよく分からなくなって、心がぐちゃぐちゃになるんや」と打ち明けてくれたんです。いつも明るいHくんがまさか、と驚きでした。それからもメッセージのやり取りを続けましたが、彼は徐々に学校を休みがちになり……。

ある日、「死にたい」と書かれたメッセージが飛び込んできたんです。ヤバい! ぼくはすぐに、母と一緒に彼の家へ行きました。直接会って話をしても、Hくんは「死にたい」という言葉を繰り返すだけ。ぼくはどうすることもできませんでした。

ほんまに辛かったんやろうな、しんどかったんやろうな

Hくんに元通り元気になってほしい。ぼくは、「俺、先祖供養してるねん。やったらきっと変われるで」と、霊友会の話をしました。今まで導きをしたことはありません。けど、相手が元気になるまで会員に親身になって寄り添っている祖母や両親の姿を見てきたから、彼のために自分にできることはそれ以外に思いつかなかったんです。

そのときは断られましたが、あまり気にせず、できるだけまめにメッセージを送ったり、直接会って他愛もない話をしたり、関わりが途切れないように声をかけ続けました。

Hくんが元気になれるようにと、お経も毎日、真剣にあげました。彼にどんな言葉をかけたらいいんやろう。そう思いながらお経をあげていると、ほんまに辛かったんやろうな、しんどかったんやろうなと、胸がいっぱいになりました。

今年3月、もう一度「一緒にやろう」と伝えました。「具体的に何するん?」と聞かれたので、「毎月500円の会費を納めて、お経をあげて、つどいに参加するんやで」と言うと、「じゃあ、やるわ」と彼は入会しました。

先日、ぼくの家で、Hくんと、ぼくの両親と一緒にお経をあげました。お経が終わると父が、「Hくんは、悩みを自分で解決しようとして誰にも話さないんちゃうか? これからはもっと頼ってや」と話してくれました。彼は、「はい、分かりました」と言いました。

少しずつだけど、最近はネガティブな言動が減ってきたHくん。これからもっと、彼に寄り添い、力になっていきたいです。そして、彼と同じような思いをしている人をほっとけない! ほっとかない! そんな青年になっていきます。

《孤独を抱える友達があなたのそばにも》

小中高生の自殺415人(過去最多)|小中学生の不登校19万人(過去最多)
*令和2年度「児童生徒の問題行動・不登校生徒指導上の諸課題に関する調査」(文部科学省)

中高生の自殺や不登校が、残念ながら増えています。頼れる人がいない、居場所がない―そんな孤独を抱える中高生が世の中に多いのではないでしょうか。
今月号に登場した中高生のように、霊友会の教えを生かし、家族、同世代の仲間、先輩などいろんな人と深く関わる中にこそ、自分を成長させ、未来を拓いていくきっかけがあると思うのです。みなさんも、ぜひ周りの人に声をかけていきましょう。