④変わりたい!そのきっかけは
櫻井さんは2児のママ。4月から小学校3年生の長男と1年生の二男、ご主人との4人家族だ。元気いっぱいの息子たちと愛する夫に囲まれ順風満帆、かと思いきや、子育て世代のヤングミセスならではの苦悩や葛藤、そして変化があった。様々なきっかけを経て、櫻井さんは、今―。

【出会い、結婚、子育て】
何でも受けとめてくれるこの人となら
私の父は穏やかな人で、母は明るく元気なムードメーカー。そんな両親に見守られ、私も幼少期は1歳上の兄と一緒に外で遊ぶ、活発な女の子でした。しかし、思春期を迎えた頃から徐々に内気な性格に。人見知りするし、友達の間でも、自分の意見は言わず周りに合わせるようになりました。
製菓の専門学校を卒業し、子どもの頃からの「ケーキ屋さんで働く」夢を叶えたものの、ハードな仕事に身体がついていかず、結局、2年程で辞め、職を転々とすることに。
そんな中で出会ったのが夫の一彰(かずあき)さんでした。当時、私が21歳で、彼は6歳上。いつも穏やかで心に余裕があり、私の言うことを何でも受けとめてくれる。私はそれまで結婚願望はなかったんですが、この人となら幸せになれると思ったんです。
およそ3年の交際を実らせ、24歳のときに結婚。幸せな夫婦生活を送っていた。しかし、子どもが産まれると、次第に、子育ての大変さに追われるようになっていく。
男の子2人なので、本当に大変で。とにかく暴れ回って、ホッとする暇がない。ついカッとなって怒鳴ってしまう。食事は息子たちが好きなものを選んで作り、何事も優先順位は子どもが一番、夫は二の次。どこの家庭でも子どもが産まれたらそれが当たり前だろうと思っていました。
そんな中、ある頃から、息子に対する夫の態度が……。長男の琢人(たくと)は、食事中に姿勢が悪かったり、おかずや飲み物をよくこぼしたりしていました。最初は注意だけだったんですが、毎回同じことを繰り返すので、夫も、だんだん強い口調で感情的に怒るようになっていきました。そのことで琢人が委縮してしまい、余計にこぼすようになってきたので、ちょっと言い過ぎじゃないかなと思うようになりました。でもそれを口には出せず、夫への不満が日に日に溜まっていったんです。
【ヤングミセス活動を始めて】
自分一人では考えてもみなかった
一昨年の秋頃だった。櫻井さんに、ヤングミセス活動を担当する支部の青年部執行部への誘いがあった。
霊友会には、私が幼稚園のときに母が友人に導かれ、家族で入会。私も楽しく活動してきました。でも、社会人になると忙しいし、夫も、私がやる分には構わないというスタンスで、独身の頃のようには活動していませんでした。でも、いつも輝いている執行部の人たちには憧れていて、思いきってやってみることにしたんです。
昨年の8月、ヤングミセス同士の集まりに参加した櫻井さん。そこで、夫への不満を話してみた。その中で、若いママたちの相談役で、子育てや夫婦生活の大先輩である支部長からあるアドバイスをもらったという。
話の流れで、毎日、夫が仕事から帰ると息子たちをお風呂に入れてもらっている、と言ったんです。すると、「ご主人、大変やね。家に帰って、ゆっくりする時間ないね。ご主人の気持ちを聞くことから始めよう」とアドバイスしてもらいました。私にとって、それまで考えてもみないことでした。その晩、夫に相談すると、「お風呂は先に入れといてもらって、俺が帰宅したら全員でご飯を食べるのがいいかもね」と。言われた通り、次の日からやってみよう!と思ったとき、ハッとしたんです。夫はあまり自分から意見を言わないタイプだけど、そもそも私から夫に聞くこともなかったな、と。
私は今、専業主婦ですが、夫が仕事に行くのは朝5時と早いため、起きて見送ることもしていませんでした。それどころか、夫が帰るなり、息子たちが言うことを聞かない、片付けをしないと毎日愚痴 をこぼしていました。まるで、自分がどれだけ大変かをアピールするかのように。そんな私を、夫は否定もせず、「どうしたの?」と優しく聞いてくれていました。
今まで、あまりにも夫に甘え過ぎていたな。それが夫のストレスになり、息子たちへの態度に出てしまったのかもしれない。そう自分を振り返る大きなきっかけになりました。
【弥勒山セミナーに参加して】
心を入れ替えて帰ったはずが…
同じ8月には、「青年の弥勒山セミナー」もありました。そこで私が聞いたのは、耳の痛い話ばかり。「夫の態度が気に入らない」、「私は頑張っている」。「帰ったら離婚しようと思っている」という人もいました。コーナーを担当していた支部長から様々なアドバイスをもらう彼女たちを見て、ああ、これは私の姿なんだなと思いました。今まで、夫や息子たちに申し訳なかった。私、変わりたい。そう思って弥勒山から帰ったんです。
ところが、家に帰ると、真っ先に目に留まったのは放置されていた生ゴミ。私は思わず、「ちょっと、ゴミぐらい捨てといてよ!」と言ってしまいました。さらに、作っておいたカレーが出しっ放しで、「冷蔵庫に入れないと腐るやん!」と。
夫は、「ごめん、プールへ行くのにバタバタしてて」と言いました。その日、夫は、息子たちを自転車で30分かけてプールへ連れて行ってくれていたんです。
ああ、やってしまった。弥勒山で変わろうと思ったばかりなのに。なんで「弥勒山に行かせてくれて、子どもたちの面倒も見てくれて、ありがとう」と言えなかったんだろう。私は、心底自分が情けなくなりました。
落ち込む私に追い打ちをかけるように、後日、息子から衝撃的な話を聞かされました。私が弥勒山に行っている間、夫が、「家のこともせんと、何が霊友会やねん。こんなことして何が変わんねん。このことは、ママには内緒やで」と話していたと言うのです。
ショックでしたが、すべては自分のまいた種だと思い、それから日々の生活を改めました。洗い物や洗濯物を溜め込まない。朝は起きて夫が仕事へ行くのを見送る。夫の好きなものを献立に入れたり、甘いものが好きなのでお菓子を作ったりしました。すると、日に日に楽しそうに仕事に行くようになり、息子に対しても口調が優しくなり、怒る回数も減っていきました。
※左が長男の琢人(たくと)くん、右が二男の悠人(ゆうと)くん。2人ともお母さんと一緒でとても楽しそう
【もう一つの転機。そして】
人には言えないだけでいろんなものを抱えている
変わり始めた櫻井さん。10月に行われた、支部長とヤングミセスとの懇談会。そこで、「あなたは親に頼り過ぎている。実家依存を変えなさい」とアドバイスされたという。
ドキッとしました。実は、自分でも気付いていながら、一番、他人に触れられたくない部分だったからです。
それまで、毎日のように、近くに住む実家の両親のところへ息子たちを連れて行っていました。両親も孫が来ると喜ぶし、息子たちも、優しい祖父母に会えて嬉しい。私はその間、息子たちから解放される。何でも実家の両親に相談して決め、夫には事後報告。今思えば、夫をないがしろにする本当にひどいことをしていました。このことを指摘されてから、私は本気で生まれ変わろうと心に誓い、自分自身で決めて百日間の修行を始めました。
お経だけでなく、苦手だった水行や導きにも取り組むと、なかなか時間が合わず疎遠になっていた友達と会う時間が作れるようになりました。
ある友達は、いつもニコニコしていて、何も悩みがなさそうな人。ところが、会って話をしてみると、ご主人の浮気が原因で別居中でした。でも、話せば話すほど、他人に対して自分の非を認めない彼女の性格が見え隠れして、どこか自分と重なっているように感じました。
霊友会の話をすると、「先祖を大切にするって良いことだよね」と入会してくれた彼女。今も別居中ですが、少しでも良い方向に進んでいけるように、一緒に頑張っているところです。
他にも、話を聞けば「実は……」と家庭のことで悩んでいる人が本当に多いんです。みんな、人には言えないだけで、いろんなものを抱えながら生きているんだなと知りました。そして、それを一人で解決するのは難しい。私も、ヤングミセスの活動、弥勒山、私に関わってくれた支部長や先輩方、仲間たちのおかげで変わるきっかけを掴(つか)めました。本当に感謝しています。
今は、夫も、息子たちも、以前よりも家の中で明るく過ごしてくれるようになりました。私を育ててくれた両親、お世話になった方々への恩返しの気持ちも込めて、もっともっと周りの人に声を掛けて、一緒に幸せになっていきます。
※兄弟そろって台所でお手伝い♪