今月の
特集
2020.7.31
やっと見つけた。
人生で一番大切なこと
一流大学に入学し、社会的地位の高い仕事に就き、〝勝ち組人生〞を送る。藤原ゆうこさん(36歳)は、それが幸せになる道だと信じていた。そんな彼女が人生で初めて味わった挫折。彼女が心を変えたきっかけとは?
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- ■①— 人生で初めて味わった挫折
祖母の代から霊友会の会員である家庭で育った私は、幼い頃から両親に「将来は世のため、人のためになりなさい」と言われて育ちました。…続きを読む - ■② — こだわるのは、もうやめよう
大学院2年生の頃、私が骨髄炎の手術をしたとき、霊友会の先輩たちが励ましてくれたり、無事に手術が終わるように念願してくれました。…続きを読む - ■③ —みんなは私にできないことができている
2年前、「第八支部青年部身延・七面山恩師御宝塔参拝登山修行」に地域の仲間たちと参加したときのことです。…続きを読む - ■④ — 誰かのために一生懸命になる。それが一番大事
職場での自分も振り返りました。人のために働いているつもりが、ただルーティンワークをこなすだけになっていた。…続きを読む
- ■①— 人生で初めて味わった挫折
①人生で初めて味わった挫折
祖母の代から霊友会の会員である家庭で育った私は、幼い頃から両親に「将来は世のため、人のためになりなさい」と言われて育ちました。そんな私はずっと、挫折を知らずに生きてきました。成績はいつもトップクラスで、高校は私立の進学校に入学。周りの友達は、裕福な家庭に育ち、容姿も知性も兼ね備えた、何もかも持っている子ばかりでした。自分よりも遥かに恵まれている友達がうらやましくて、私もそうなりたいと思うようになりました。
社会に貢献しながら、お金と地位も手に入れたい。成績トップで自信があった私は、良い大学を出て、社会的なステータスの高い仕事に就いて、いずれ友達の家のようにお金持ちになる。そんな〝勝ち組人生〞を送って、人にうらやましがられる自分になるんだと思っていました。
ところが、合格確実だと思っていた第一志望の大学受験に失敗してしまったんです。私より成績が下の同級生はみんな希望の大学に合格しているのに、なんで私だけ? こんなの私じゃないと、プライドが傷つき、すごくみじめでした。
すべり止めの大学に入学したものの、こんな所に来るはずじゃなかったのにと後悔してばかり。大学の友達に対しても私よりレベルが低いと感じてしまって、一緒にいても心から楽しめない。次第に大学を休みがちになり、遊びながら手っ取り早くお金が稼げるからと、パチンコなどのギャンブルに通う、自堕落(じだらく)な日々を送るようになっていきました。そして、パチンコ店に入り浸(びた)っている他の人たちを見ては「この人たち、ろくでもないな」と、自分も同じことをしているにも関わらず、 見下していたんです。
②こだわるのは、もうやめよう
大学院2年生の頃、私が骨髄炎の手術をしたとき、霊友会の先輩たちが励ましてくれたり、無事に手術が終わるように念願してくれました。そんな先輩たちの姿に惹かれて、自分から積極的に霊友会の活動に取り組むようになったんです。
ある日、支部長に進路のことを相談すると、「自分に縁のある職業に就けるようにお経をあげてみたら」とアドバイスされ、やってみることにしました。
お経をあげていると、昔から両親に言われてきた言葉があらためて思い出されました。そして、人からうらやましがられる自分になれず、プライドが傷ついた気持ちが少しずつ薄れてきて、社会的地位のある職業にこだわらなくてもいい。人や社会のためになる仕事なら、何でもいい。そう思えるようになったんです。
法律関係の仕事が決まり、就職。離婚や自己破産など、裁判を受ける人たちの力に少しでもなれるように心がけながら、業務に取り組んでいきました。
ところが就職して4、5年が経った頃、上司から「もっと努力しろ」とうるさく注意されるようになったんです。先輩たちには何も言わないのに、何で私にだけ言うんだろう。私は仕事をちゃんとしているのにと上司に反発心を抱き、言い争いになることもありました。
同じ頃、支部の仲間や会員との関係にも悩むようになりました。当時、第八支部の青年部役員(ブロック長)を務めていた私。たくさんの人につどいや弥勒山行事に参加してもらうために、仲間にはもっと動いてほしいのに、全然動いてくれない。そんな不満を抱くようになりました。
仕事を辞めた会員に、「いい縁の職場が見つかるようにお経をあげて念願したらいいよ」「七面山に行こう」。そう伝えても、「やらない」「行かない」の一点張り。みんな、何で分かってくれへんのと、腹を立てる日々でした。
「みんなのことを実のきょうだいやと思って接していかなあかんで」と支部長や先輩に言われても、納得できませんでした。
③みんなは私にできないことができている
2年前、「第八支部青年部身延・七面山恩師御宝塔参拝登山修行」に地域の仲間たちと参加したときのことです。その年は例年にない大雨で、雨合羽を着てもずぶ濡れになるほど。1日目に宿泊する宿坊についたときには、疲労と寒さでみんなへとへとだったんです。
そんなとき、宿坊の女将さんから、「遅くなると交通規制で帰れなくなるかもしれないから、早く従業員を帰したいんです」と相談されました。そのことをみんなに伝えると、私が具体的な指示を出していないのに、素早く食事を済ませ、宿坊の人たちが少しでも早く帰れるようにと、食器洗いを手伝ってくれたんです。他にも、みんなの雨合羽を拭いて、乾かしている人たちや、「手があいているので、できることがあったら言ってくださいね」と申し出てくれる人たちもいました。疲れて、早く休みたいはずなのに、中高生から大人まで、みんなが自分のことを後回しにして人のために動いている。胸がすごく熱くなったんです。
それに比べて、これまでの私はどうだっただろう。自分を振り返ってみると、私はいつも自分のことを優先してばかりでした。みんなのように、心から人を思って行動したことがなかったんじゃないかと気づいたんです。ずっと仲間のことを責めて、どこか見下してきたけど、みんなは私にできないことができている。私のほうこそ変わらなきゃいけなかったのに、プライドが邪魔して自分の悪いところが見えなかったんだ。結局のところ、心の奥底は地位やお金を求めていた頃と何も変わっていなかったと感じたんです。
「心から人を思える自分になりたい」。支部長や先輩に言われた通り、本当のきょうだいだと思って仲間と接していこうと心に決めて、地元に帰りました。指示を出すだけじゃなく、地域のみんなと一緒に行動する。元気がなさそうな人がいたら声をかけて話をじっくり聞く。会員に対しても、それまで以上に家に通って一緒にお経をあげたり、先祖の法名を集めたり、共に修行に取り組みました。地域の仲間とは以前よりぐっと距離が縮まり、お互い信頼し合える関係になってきたんです。会員も無事に仕事が決まり、今は前向きに毎日を暮らしています。
※信頼し合える仲間、会員と
④ 誰かのために一生懸命になる。それが一番大事
職場での自分も振り返りました。人のために働いているつもりが、ただルーティンワークをこなすだけになっていた。要領よく仕事をするだけでなく、もっと自分にできることを探すべきだったんだ。上司に注意された理由がようやく分かりました。
これまでの職場は、一人ひとりが自分の担当業務に没頭し、同僚がどんなに忙しくてもフォローすることはありませんでした。まずはそのドライな雰囲気を変えていこうと、お互いに支え合ってみんなで仕事を進めようと声をかけたんです。少しずつですが、お互いにフォローし合える、温かい職場に変わってきています。
仕事でも霊友会活動でも、関わった人たちが前向きに変わっていく姿を見ることが、自分の喜びになりました。人生に必要なのはお金や地位だけじゃない。誰かのために一生懸命になることが一番大事なんだと感じています。
正直に言うと、今でも仕事などに追われて自分のことで精いっぱいになり、落ち込むときがあります。先日、いつもお世話になっている支部長に「人を思う気持ちになれない」と相談すると、「つらかったね」と受けとめてくれました。そして、「このままじゃいけないと思えたなら、もうそこで一歩踏み出せているんじゃないかな。私たち大人もそうやって悩んだり壁を乗り越えたりを繰り返しながら少しずつ前に進んでいるんだよ」と励ましてくれたんです。すごく心が温かくなって、頑張ろうという気持ちになりました。支部長のように、心から人に寄り添える自分になることが、今の私の目標です。
※家族はいつも支えてくれる、かけがえのない存在
新型コロナウイルス感染症の影響で、飲食店などの個人事業主が次々と破産の申し立てをしている現実を、仕事で目の当たりにしています。自分にできることは限られているかもしれませんが、困難な状況にある方々に「心から寄り添えるように」、精いっぱい頑張っています。
※裁判を受ける人たちが良い道に進めるように、念入りに仕事を進める
※7月6日に電話で取材しました。
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