今月の
特集

2024.4.1

すべてが自分の糧に。
13人の学生、初めて訪れた台湾でー

「明日の日本を創る学生会議」
 第38次訪華研修 3月3日~11

コロナ禍を経て、5年ぶりに“訪華研修” が帰ってきた!

その始まりは1981年。これからの国際社会を担う青年たちの心を育てようと、霊友会青年部が発足した「明日の日本を創る学生会議」の活動の一環として、訪華研修は生まれた。渡航先は台湾(中華民国)。1895年から1945年まで日本が統治していた、深いつながりのある地で、大学生・短大生・専門学生らがその歴史や文化にふれ、現地の人々との交流を通してさまざまなことを学ぶ。一歩離れた視点から日本を見つめ直し、自身の生活、生き方に生かしていくことで、世の中に貢献する青年になっていく。その目的のもと毎年実施されてきた研修だ。

住んでいる地域も、専攻する分野も異なる13人が、ともに過ごした1週間。見聞きするもの、出合うものすべてに新鮮な感動や発見があり、自分に生かせるヒントがあふれていた。

台北城市科技大学生との交流会。グループで街中に繰り出し、各々が目に留まったものについて、さまざまな角度からディスカッションした

  1. 第38次訪華研修スケジュール―3日(日) 霊友会本部にて結団式続きを読む
  2. 団員インタビュー.01―ぼくには夢があります。自分がお世話になった先生のように続きを読む
  3. 団員インタビュー.02―「みんな、今思っていることを吐き出そう」。続きを読む
  4. 団員インタビュー.03―もっと英語を学びたい―。続きを読む
  5. 団員インタビュー.04―大学1年生のときから参加を熱望していた訪華研修は、貴重な体験の連続でした。…続きを読む

第38次訪華研修スケジュール

3日(日) 霊友会本部にて結団式

4日(月) 霊友会台湾支局訪問、台北賓館訪問(※1)

5日(火) 中正紀念堂見学(※2)、行天宮見学(※3)

      中国青年救国団表敬訪問(※4)

                    国立故宮博物院見学(※5)

6日(水) 総統府見学(※6)

                    中国文化大学生との交流

7日(木) 台北城市科技大学生との交流

8日(金) 台北城市科技大学生との交流

9日(土) 台湾霊友会青年部との交流

10日(日) 研修団懇談会、台湾霊友会青年部との交流

11日(月) 帰国

※1…日本統治時代の台湾総督官邸。台湾外交部の管理下で迎賓館として使われている。

※2…中華民国の初代総統・蒋介石の顕彰施設。広大な敷地内にある荘厳な施設で、観光名所の1つ。

※3…2万人以上が訪れる日もあると言われる寺院・観光地。関聖帝君(関羽の神としての名前)らが祀られている。

※4…青少年の育成に力を入れ、台湾各地でさまざまな活動を行っている社団法人。

※5…中国の歴代皇帝と宮廷の貴重な文化遺産を所蔵し、世界四大博物館の1つと称されている。

台湾の総統(国家元首)が執務する公邸。日本統治時代に台湾総督府が置かれていた。


地上101階建て・500m超えの「台北101」は夜のライトアップも圧巻


日本統治時代に建てられた総統府を見学し、その歴史を学ぶ


心を込めて、台湾の青年部と一緒にお経をあげる


夜市には台湾グルメがたくさん。楽しい!

団員インタビュー.01

|   中学生からの夢に向かって


T.Sさん 鹿児島県 大学1年生

ぼくには夢があります。自分がお世話になった先生のように、明るくてみんなに慕われ、物知りでいろんなことを教えられる小学校の教員になること。訪華研修に参加したのは、そんな将来のために海外の文化を体験し、視野を広げたいという思いからでした。

初めて訪れた台湾では、見るものふれるものすべてが新鮮! いろんな名所を巡ったり、美味しいグルメを堪能したりした中でも、特に台湾の大学生や霊友会青年部との交流が一番刺激的でした。

たどたどしい日本語で、精いっぱいもてなそうとしてくれる台湾の青年たち。でも、中国語ができないぼくは、なかなか自分から話しかけられずにいたんです。

そんなとき、一生懸命自分から話しかけようと頑張っている団員の姿が目に留まりました。そうだ。自分の夢に向けて、せっかくの機会を大事にしないと! 身振り手振りを交えて、思い切って話しかけました。すると、思ったよりも意思の疎通ができる。少しくらい言葉が分からなくたって、関わろうという気持ちが大切なんだと気づかされました。

ぼくが社会に出る頃には、ますます外国人と接する機会が増えていたり、多様性が大切になっていると思います。そのとき、訪華研修で教わった、言葉や文化の壁を越えて思いやりをもって人と接する姿勢を、身をもって子どもたちに示せる教員でありたいです。

そのためにも、今まで言葉が通じないからと距離を置いていた同じサークルの韓国人留学生と積極的にコミュニケーションをとり、関わっていくことから始めていきます。

団員インタビュー.02

|   シャイな自分を変えたくて


I.Kさん 山形県 大学2年生

「みんな、今思っていることを吐き出そう」。研修4日目の晩、学生長であるN.Yさんのそんな一言で始まった団員同士のつどい。そのきっかけは私でした。

海外を自分の目で見てみたい。シャイな自分を変えたい。そんな思いで参加した訪華研修。その序盤、日本にはない街並みの新鮮さや、歴史的な建造物の迫力に感動しながらも、どこかまわりと馴染(なじ)めない自分がいました。

他の団員同士が楽しそうに話しているとき、一緒に話したいな。でも、私が入って話の腰を折ったらどうしよう。ネガティブな自分が顔を出し、勝手に疎外感をもってしまいました。考えれば考えるほど苦しくなり、Nさんに相談したんです。Nさんは、私の気持ちをとことん聞いてくれました。そして翌日、つどいをしようと提案してくれたんです。

つどいの中で私は思いきって、自分の気持ちを伝えました。「みんなの輪に入れなくてモヤモヤしてる。研修を続けていける自信がない」。それを聞いたみんなは、「気づけなくてごめんね」と優しく声をかけてくれ、私の気持ちを受けとめてくれました。

そこから私にとって本当の研修が始まりました。団員と積極的に話すようにすると、心の壁がとれたような感じがして、自然と仲が深まっていきました。

台湾の人たちから学んだこともありました。それは、人との距離感です。日本人よりもオープンで、どんどん話しかけてくれる。思いやりがあって温かく、いい意味で距離が近いんです。素敵だなと思いました。

相手の反応を気にし過ぎないで、もっと自分の気持ちをストレートに伝えていい。興味をもって積極的に関わっていけば、相手もきっとうれしい。日本と台湾、たくさんの仲間ができて、気づきが得られた本当に濃い1週間でした。

団員インタビュー.03

|   “できる限り”をやってみよう!


山川陽生さん 兵庫県 大学1年生

もっと英語を学びたい―。昨年の春、希望していた外国語学部に入学したぼくでしたが、授業の進め方が自分に合わず、モチベーションを維持できずに単位を取りこぼしていました。そして、台湾に着いた日の夜、大学から留年決定のメールが届いたんです。

親に申し訳ないし、かっこ悪いし、大学を辞めちゃおうかな。そんなモヤモヤを、研修団の団長である平水利憲支部長にぶつけました。すると団長はいろんな体験を話してくれ、「辞めるかどうかは、できる限りのことをやってからで遅くない」とアドバイスをくれました。

たしかにそうや。自分が納得できるほど、まだ何もやりきってない。団長の言葉に背中を押され、今できることを頑張ろう、台湾の人たちと、とにかく積極的に話そう!と決めました。

台湾の大学生と数人のグループで台北市内を散策した日のこと。相手は日本語学科の学生ですが、語学力はまちまち。ぼくは日本語と英語を駆使して、「あれは何?」「これはどういう意味?」と質問したり、思いついたことをどんどん言葉にしていきました。ぶっちゃけ、スマホの翻訳機能を使えばある程度会話は成立します。でも、それじゃもったいない。できる限り自力で会話しようと努力しました。

お互いの言いたいことが伝わったときは、すごくうれしかった。それに、実際に会話したから実感できたこともあったんです。それはぼくが関西弁で、彼らが学んでいる日本語は標準語だから、イントネーションの違いでうまく伝わらないということ。言語って奥深い、面白い!ってあらためて思いました。


「おしゃべりが楽しくてあっという間」。中国文化大学の学生と

大学で学べ、訪華研修に参加できるという恵まれた環境、送り出してくれた家族に感謝して、今の大学でもう一度頑張りたい。自ら学びに行く姿勢でもっと成長していきたいです。

団員インタビュー.04

|   国境を越えても変わらないもの


G.Yさん 埼玉県 大学4年生

大学1年生のときから参加を熱望していた訪華研修は、貴重な体験の連続でした。日本と違うおみくじの方法に驚いた行天宮。想像以上に強烈な臭いだった臭豆腐(しゅうどうふ)。いろんな場所へ行った台湾の大学生とのフィールドワーク。たくさん思い出がありますが、特に心に残ったのが、台湾霊友会青年部との交流でした。

私たちのために、何カ月も前から交流会の内容を企画してくれた彼ら。しかし、誰よりも当日を心待ちにしていたという1人のメンバーが、2月、交通事故で亡くなってしまったのだと聞きました。

彼の友人たちが、当日、交流会に来ていたんです。「霊友会のことはよく分からないけど、友達がすごく楽しみにしていたから手伝いたい」と、台湾青年部と一緒に私たちをもてなしてくれました。みんなでゲームやバーベキューをする中で、言葉は分からなくても、私たちに楽しんでほしい!っていう思いがすごく伝わってきたんです。その気持ちが温かくて……。胸が熱くなりました。


「家族で参加している人もいて、子どもたちとも楽しく交流できました」(台湾青年部との交流会)

翌日、台湾支局で一緒にお経をあげ、つどいをしました。私たち団員は日本語、台湾青年部は中国語で同時にお経をあげたので、最初は変な感じ。でも、亡くなられた仲間を思い、みんなで一生懸命お経をあげていると、少しずつ心が1つになっていく気がしました。人を思う気持ちは、国境を越えても変わらない。そう強く実感した経験でした。

台湾に行く前、今より少しでも積極的に人と関われる自分になろうと、初めてつどいの話や、訪華研修に参加することを話したら、すごく興味をもってくれた大学の友達がいるんです。今度会ったときに、台湾で得た感動を伝えます。

そして、この春から私は社会人。仕事でも、人を思って行動し、社会に貢献できる青年になれるよう頑張っていきます。