今月の
特集
2020.9.30
コロナのせいにせず
人を思って動くことが
私たちにできること【看護師の仲間たちにインタビュー】
新型コロナウイルス感染症の対応に追われ、医療従事者の負担が増えている。また、タクシーの利用や子どもの保育を拒否されるなど、医療従事者への不当な差別も問題になっている。そんな状況の中、前向きに医療の仕事に取り組み、身近な人のために行動している青年たちがいる。
看護師であり、共に同じ支部で霊友会活動に取り組んでいる佐々木惠理さん、飯山友子さん、宮坂菜美さんの3人に、それぞれの「Myおせっかい」を語ってもらった。
①仕事が増え、世間からの偏見もある中、医療現場では −
仲間とのつながりが元気の源
佐々木 新型コロナウイルス感染症が拡大した4月あたりから、仕事が大変になったなと感じています。私も検査を担当することがあるんですけど、感染リスクを最小限に抑えるために検査室に入るのは1人だけ。検査するときは防護服とフェイスシールドで完全防護する分、他の仕事よりも手間がかかるんです。一般の患者さんの対応もしなくてはいけないから、仕事量は倍近くになりました。先日、ある病気で入院した患者さんが、新型コロナ感染者と接触した可能性があると後になって分かったんですよ。幸い、その方は陰性だったけど、本当にヒヤッとしました。いつ、どこに感染リスクがあるか分からないから、これまで以上に緊張感をもって仕事をしています。
※長野県 佐々木惠理さん 28歳
飯山 その気持ち、分かる。私は透析室を担当しているんですけど、万が一クラスターが発生して病棟が閉鎖になったら、たくさんの人が透析できずに命の危機にさらされる。絶対に感染させないように、消毒や検温はもちろん、患者さんのご家族にも感染者の多い所に行くのを遠慮していただいて、予防を徹底しています。以前にも増してプレッシャーを感じています。
宮坂 看護師への偏見もありますよね。最近、私と友子さんが勤める病院への誹謗中傷謗がSNSに書き込まれていたらしいんです。職場には、周りからの心無い言葉に傷ついた人もいました。
飯山 確かに、私も近所の人にどこか距離を置かれている気がする。
宮坂 私たちだけじゃなくて、全国の医療従事者が偏見に悩まされながら仕事をしていると思うんです。つらい世の中ですけど、患者さんたちのために、まずは自分たちが元気でいないといけない。そう思いながら日々、仕事をしています。
佐々木 大変な状況ではあるんですけど、私たちが今、前向きに仕事ができているのは、霊友会の仲間との繋がりがあったからだなって、最近特に思うんです。弥勒山セミナーや支部のつどいが中止になったけど、何とかしてみんなで元気になれる場をつくりたくて、6月にオンラインのつどいを始めました。
飯山 久しぶりに仲間の顔を見たときは嬉しかった。うちの子どもも、「惠理ちゃんだ!」って喜んでたよ。
※長野県 飯山友子さん 38歳
佐々木 それは私も嬉しい(笑)。
宮坂 私も、コロナ禍の中でも楽しみを見つけながら生活をしていたり、新しいことを始めているみんなの姿を見て、頑張ろうって思いました。その中でふと、遠くの仲間とは繋がることができたけど、身近にいる会員や友達とは連絡もとっていなかったなと気づいて……。同じ病院に勤める、友子さんの同僚でもある会員のKさんと会って話をするようにしたんです。
Kさんは看護学校からの友達。何かと人間関係で悩むことが多い彼女を放っておけなくて、昨年、霊友会の教えを伝えました。支部の行事に参加したとき、たくさんの人の話を聞いて「私は人の悪い部分ばかり見てしまうから、そこを直したい」と言ってくれたんです。それ以来、コロナが広がる今年の始めまで一緒にお経をあげたり、つどいや行事に参加してきました。友子さんも先輩として、職場と霊友会活動の両方で彼女と関わってくれたんです。
※長野県 宮坂菜美さん 29歳
飯山 彼女が同僚とうまくいかなかったときは、相手のこともよく知っているので、客観的な意見を伝えたり、「相手のせいだけじゃなくて、自分に足りないところはないかな?」とアドバイスしたことも。
宮坂 コロナ以後、私が会えなかったときも、そうやって彼女を支えてくれて、本当にありがたかったです!6月、久しぶりに彼女と会ったとき、あれ、何だか変わった?ってびっくりしました。以前は人を責めてばかりいた彼女が、自分もこういうところが悪かったと、自分を振り返るようになっている。人の悪いところばかりを見ていた彼女が、良いところを見つけている。以前よりもっと優しくなった彼女を見て、本当に嬉しくなりました。
佐々木 関わった人が変わっていく姿を見ると、自分も励みになるよね。
宮坂 本当に、私も元気をもらいました。彼女だけでなく、友達や職場の同僚ともっと関わっていこうって、やる気が湧いてきたんです。
職場の後輩が、自分の気持ちを伝えることが苦手で、仕事で困ったときもなかなか相談できない人。以前の私とすごく似ているからすごく気になって、彼女のことをよく見て、声をかけるようにしています。
先日、「周りの人も忙しいから、あなたが困っていてもなかなか気づけないよ。声をかけられるのを待たずに、自分から相談したほうがいいよ」と話をしたんです。それからは少しずつ自分から報告や相談をしてくれるようになりました。コロナ禍で大変な時期だからこそ、お互いを支え合う関係をこれからもつくっていきたいです。
②みんな、人知れず悩んでいる。一人ひとりに目を向けたい
佐々木 菜美ちゃんと同じで、私もオ ンラインつどいをきっかけに、もっと人と関わろうと思うようになりました。
8月の始め、つどいに参加した仲間に悩みを相談され、問題解決のためにそれぞれお経をあげて頑張ろうと決めました。ちょうどそのとき、高校時代の友達から会いたいと連絡がきたんです。病院からはあまり人と接触しないように言われていたし、友達は妊娠中だったので、私と会うことで迷惑をかけてしまうのではないかな。直接会わないほうがいいのかなって迷いました。でも、この状況下でも会いたいと言ってくれる彼女のことがどうしても気になって、会いに行くことにしました。もちろん、ソーシャルディスタンスをとって、感染予防をしっかりしました。
会って話を聞くと、友達は出産に対して大きな不安を抱えていることを打ち明けてくれました。私から見ると、彼女は物事に動じずいつも冷静なタイプでした。しかし、よくよく話を聞いてみると、「不安なことがあっても動じないふりをしていただけだよ。口に出すともっと不安になりそうだから」と、本音を話してくれました。そんな気持ちを抱えていたことに気づけず、申し訳なかった。心から友達に寄り添っていきたいとあらためて思って、霊友会の教えを伝えようとしました。でも、勇気がなくてなかなか言い出せなかったんです。
宮坂 分かる! 話を切り出すのにすごく緊張するよね。
佐々木 いつ言おう、いつ言おうってタイミングを計っているうちに帰る時間が迫ってきて。そこで一緒に修行を頑張っている仲間や、お世話になっている支部長の顔が頭に浮かんだんです。何とか自分を奮い立たせて、友達に「子どもが無事に生まれるように、一緒にお経をあげよう」と、霊友会の話をしました。すると、友達は「やってみる」と言ってくれたんです。
飯山 妊娠中はすごく不安になるから、惠理ちゃんに自分の気持ちを聞いてもらえて、嬉しかったんだろうね。
佐々木 後で連絡をとってみると、さっそくお経をあげ始め、喜んでくれていました。「ご先祖様への感謝の気持ちを込めてあげていこう」と声をかけ、元気な赤ちゃんを産めるよう一緒に修行させてもらっています。これからも、共に支え合い、励まし合って、どんなことも乗り越えていきたいです。
友達との関わりを通して、人知れず悩んでいる人は多いのかもしれないと感じました。気軽に相談してもらえる信頼関係を築けるように、周りの人一人ひとりに目を向けて、積極的に連絡をとっているところです。
※今年 1 月「令和 2 年青年部新年大会・成人式」に、仲間と一緒に参加
③子どもをのびのび育てるためには、まず夫婦から
飯山 私は支部で子をもつ親を対象にした「パパ・ママ会」を担当していて、弥勒山セミナーや支部のつどいで分科会の運営をしてきました。行事が中止になって会う機会がなくなってから、パパ・ママ会のみんなはどうしているのか気になって、一人ひとりと連絡をとるようにしました。外出自粛期間中にどう過ごしているのか、家族の様子はどうか、近況を聞いていく中で、最近、ある仲間がご主人との関係がうまくいっていないと打ち明けてくれたんです。
私も以前、同じような経験をしたから、少しでも役に立てたらいいなと思って、じっくり話を聞き、自分の経験をもとにアドバイスもしました。そして惠理ちゃんと同じように、私も仲間の夫婦関係が良くなるように、2人でお経をあげて念願することにしたんです。
佐々木 一緒に取り組んでくれる仲間がいると、前に進む気持ちが湧いてきますよね。
飯山 彼女もそう思ってくれていたら嬉しいな。今も問題が解決できるように、引き続き取り組んでいるところです。今回のことは仲間のために始めたことですけど、経行に取り組むうちに私自身にも得るものがありました。
実は、私の主人は怒りっぽくて、子どもの話を聞かずに頭ごなしに叱りつけるんです。ずっと不満に思っていたんですけど、お経をあげる中で、そういえば主人はちょっとしたことでも「ありがとう」と言ってくれていたな。それなのに、私は全く言っていなかったと気づいたんです。それから主人に「ありがとう」と伝えるように心がけました。
それまで主人は夜勤が多くて家にいることが少なかったんですが、コロナで仕事が休みになってからは、家族で一緒にいる時間が増えました。夫婦そろってお経をあげたり、一緒に子どもたちの面倒を見る中で、主人も少しずつ、子どもの話に耳を傾けるようになってきたんです。
※昨年 6 月。バーベキューのつどいで支部の先輩・仲間たちと
宮坂 自分の行いを変えようとする友子さんの姿が、ご主人の心を動かしたのかもしれませんね。
飯山 そうかな(笑)。子どもたちも休校になったり、学校行事が中止になる中でも、毎日楽しそうに過ごしていて、のびのび育っているなと感じています。夫婦次第で、子どもの育ち方も変わってくるんだと、あらためて感じました。仲間の夫婦関係も良くなるように、これからも寄り添っていきます。
宮坂 2人の話を聞いていると、仕事でもプライベートでも、人の役に立とうと一生懸命になっている仲間がいるって心強い!と感じました。
飯山 私も振り返ってみると、今の自分があるのは、お互いに支え合う仲間がいたからだなって思います。
佐々木 仕事で接する患者さんのために、身近な人のために、これからもみんなで切磋琢磨して頑張っていこうね!
*支部の仲間たちは、いつも元気をくれる存在(昨年 12 月・名古屋にて)
*8 月 29 日にリモートで取材しました。
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