今月の
特集
2022.4.1
笑顔と思いをつなぐ ― 宮城県の Our おせっかい
2011 年 3 月 11 日。今も忘れ得ぬ、東日本大震災の記憶。あれから11 年―。東北の青年たちは、地元の復興のため、たくさんの人を笑顔にするため、チーム一丸となって今日まで歩んできた。その一つ、宮城県のOurおせっかいを特集する
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- ■Our おせっかい①—助け合いの輪を広げる【ありがとう こだま 基金】
「ありがとうこだま基金」は、霊友会を創立された恩師久保角太郎先生、恩師小谷喜美先生の人に社会に尽くす精神を受け継いで、平成年に設立された。…続きを読む
- ■Our おせっかい②—地元を笑顔に!復興支援イベント【笑顔まつり】
2011年3月に東日本大震災が発生した直後、世界中から多くの支援が寄せられた。…続きを読む - ■Report—人とつながる。ともに未来へ!【第10回 笑顔まつり】
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年、2021年は中止となり、3年ぶりとなった復興支援イベント「笑顔まつり」。…続きを読む - ■Our おせっかい③—母と子の幸せのために【ヤングミセス 子育てサロン】
ある調査によると、子育て中に孤立や孤独を感じたことがある女性は74%にのぼる。核家族の増加、男性の育児休暇取得率の伸び悩みなど、さまざまな社会背景の中、誰にも頼れず、ひとりで悩みながら子育てをしている母親は多い。…続きを読む
- ■Our おせっかい①—助け合いの輪を広げる【ありがとう こだま 基金】
【ありがとう こだま 基金】助け合いの輪を広げる
「ありがとうこだま基金」は、霊友会を創立された恩師久保角太郎先生、恩師小谷喜美先生の人に社会に尽くす精神を受け継いで、平成年に設立された。様々な事情で学校に行けない子どもたち、障がいや難病をもつ子どもたち、海外で貧困に苦しむ子どもたちなどへの支援のほか、災害で大きな被害を受けた国内外の自治体に対しても基金から義援金を贈呈している。
宮城県でも、地元の障がい者支援施設などに基金を贈呈し、活動を支援してきた。2011年の東日本大震災以降は、一人でも多くの人と共に被災者を支援し、地元復興に積極的に関わろうと、被災地の支援に携わる団体を新たに支援。被災者や生活が苦しい人たちへの食事の提供、公園のすべり台や街頭時計の設置、活動に使う道具の購入や施設の運営などに基金が活用されてきた。
金銭的な支援にとどまらず、贈呈先の団体と交流を深めていることが、この基金の特徴だ。宮城県では様々な団体が「笑顔まつり」に体験コーナーや授産品販売の出店、舞台発表などで参加したり、「子育てサロン」(関連記事)で講演するなど、長年にわたり協力関係が続いている。
※ありがとう こだま 基金」贈呈先の障がい者支援施設の利用者とアート体験を行った(2015年「笑顔まつり」)
■NPO法人「ポラリス」田口ひろみ代表理事
「霊友会の方たちは、様々な世代やお互いの立場を乗り越えて助け合う〝地域共生社会〟をつくっていく先駆者となられていて、感銘を受けています。私たちも微力ながら、障がいのある人の社会参画を支援し、地域の人たちみんなを元気にする活動を続けていきます」。
■NPO法人「亘理いちごっこ」馬場照子代表理事
「霊友会さんとは活動内容は異なりますが、根底には〝人と人をつなげたい。人の役に立ちたい〟という同じ思いが流れているのだと感じています。私たちのような小さな非営利団体の活動にまで目を配っていただけることに驚き、ありがたく感じています」。
共に地域を良くする仲間をつくるために、東北ブロックでは今後も助け合いの輪を広げていく。
※贈呈先の障がい者支援施設の利用者と地元の人が協力してつくりあげた高さ2m、長さ30mの壁画。制作に必要な道具等に基金が活用されている
※被災者や地域住民の生活を支援する団体が基金を活用し、公園にすべり台を設置。保育園の園児や地域の子どもたちが毎日のように遊ぶ
【笑顔まつり】地元を笑顔に!復興支援イベント
2011年3月に東日本大震災が発生した直後、世界中から多くの支援が寄せられた。「支援されるだけじゃなくて、地元の自分たちで復興に向けた一歩を踏み出したい」。そんな熱い思いで青年たちが同年10月に「笑顔まつり」を開催。以降、被災地の青年たちが中心となり、被災地を元気にしようと、毎年開催されてきた(新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年・2021年は中止)。
※第1回「笑顔まつり」(2011年)。参加した多くの被災者に元気を届けようと、東北だけでなく全国各地から青年がかけつけた
被災者に笑顔を届けようと、バスを手配して仮設住宅の人たちをイベントに招く。共に復興に向けて働く仲間を増やすため、NPO団体や飲食店、音楽サークルなど、地元の人たちにも出店・出演を呼びかける。宮城県の青年たちは、仲間と力を合わせ、様々なことに挑戦してきた。その中で何を感じているのか、一人の青年に話を聞いた。
※全国の人たちに恩返しをしたい。熊本地震の支援活動も行った(2016年 第6回から)
※震災後、仲間と再会を喜び合う(第1回から)
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【インタビュー】地元を良くしたい。熱い思いを次の代へ!
Myおせっかい宮城県推進委員 飯野圭太さん 34歳
私が「笑顔まつり」の運営スタッフになったばかりの頃、先輩に連れられて宮城県内の障がい者支援団体や復興支援団体を訪れました。「復興を支援するイベントです。ぜひ協力してください」。一生懸命、自分たちの思いを伝える中で、少しずつ出店・出演してくれる団体が増えてきました。参加した障がい者授産施設の方からは、「授産品を売る場所がなかなか見つからなかったから、本当に助かりました」「普段、笑うことが少ない利用者が楽しそうにしていて、びっくりしました」。そんな声をいただいたんです。自分たちの活動が人の役に立っている。そう自信がもてた瞬間でした。
こうして「笑顔まつり」を通してつながった団体の方が、次の年には他の団体も誘って参加してくれるようになりました。回を重ねるごとに地元のイベントとして定着し、地元を良くする仲間の輪が広がってきていることを実感しています。
今、かつて「笑顔まつり」に参加していた子どもたちが青年部になり、一緒に運営する仲間になってくれているのも心強い。先輩が私を育ててくれたように、今度は私が後輩たちをサポートし、地元のために行動していく気持ちを、次の代につなげていきます。
【REPORT 第10回 笑顔まつり】人とつながる。ともに未来へ!
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年、2021年は中止となり、3年ぶりとなった復興支援イベント「笑顔まつり」。宮城県の「まん延防止等重点措置」の発出を受け、登壇者のみが会場に入り、各地とオンラインで繋いで開催された。第10回の節目を迎えた今回のテーマは、「つなぐ」。震災からこれまでに築き上げてきた人・地域のつながりをさらに強め、未来へつないでいこう―。そんな思いがこめられている。
この日に向けて、運営スタッフは昨年9月から、3つのチームに分かれて動き出した。「Ourおせっかい班」は、津波で甚大な被害を受けた地域を訪れ、被災地の〝今〟を写真で記録。また、これまでの「笑顔まつり」でつながった地元の団体に足を運び、どのような気持ちで震災を乗り越えてきたのか、話を聞いていった。「子育てサロン班」は、地元の団体から講師を招き、子を持つ親だけでなくいろんな立場の人と一緒に子育てを考えるサロンを開いた。
「学生企画班」は、これからの未来を担う中高生同士でつながり、共に成長する仲間をつくろうとつどいを開催。それぞれが活動を通して人とつながってきた実感を持ち寄り、イベント当日に発表した。
オープニングでは宮城県の青年や子どもたちによるソーラン節の映像が流れた
※地域の子どもたちを支援する団体によるオーケストラ演奏
■仙台駅で夜景を撮影したとき、10年前は暗かった海辺に今は明かりが点いていることに気づきました。仲間と共に復興支援のボランティアを続けてきて、本当に良かった……。これからも地元のために、自分たちにできることに取り組んでいきます。(Ourおせっかい班スタッフ)
■「子育てサロン」の運営を通して、お母さんたちの悩みや不安をみんなで共有し、共に乗り越えていく場が大切だと学びました。ひとりで悩むお母さんをつくらないために、今後も「子育てサロン」を続けていきます。(子育てサロン班スタッフ)
■つどいで他県の友達ができ、学校のこと、将来の夢、いろんな話ができてすごく楽しかったです。東北の各地から仲間を集めて、友達もたくさん誘って、学生のつどいを開いていきたい。そして、人のために行動し、周りの人を笑顔にする仲間を増やしていきたいです。(学生企画班スタッフ)
参加者からは、「Ourおせっかいの活動に参加したい」という声が寄せられ、仲間の輪を広げるきっかけとなった。次の「笑顔まつり」に向けて、ここからスタート。3つのチームは互いに協力しながら、地元の人たちとともに明るい未来を目指す活動を展開していく。
【PICK UP1】記憶を未来へ
被災地の“今 ”を、支援してくれた全国の人たちに届けたい。そんな思いで運営スタッフが被災地で撮影した写真をスライドで紹介。参加者一同が復興までの道のりを振り返り、震災の記憶を風化させないよう、未来へつないでいく決意を新たにする時間になった。
仙台市 仙台駅周辺
仙台市の夜景。震災当時は海辺に明かりがなく暗い風景だったが、今は海辺にまで明かりが広がっている
南三陸町 震災復興記念公園
最後まで避難を呼びかけた職員はじめ、多くの人が亡くなった南三陸町の防災庁舎。震災を風化させないため、震災遺構として保存されている
【PICK UP2】これから10年に向けて学生活動をスタート
当日は中高生が大活躍! 司会を務めた他、学生一人ひとりの10年後の目標と手話歌を発表した。第10回「笑顔まつり」を機に、東北ブロックの学生活動がスタート。一緒に元気になる仲間を増やすために。そして10年後、地元に貢献する自分たちになるために、学生のつどいなど、いろんな活動を展開していく。
学生の活動を紹介した
10年後の目標を発表
映像で「笑顔まつり」を見よう!
『いい顔に会いたい』4月号でも「第10回笑顔まつり」が取り上げられて います。DVD、または霊友会公式ホームページでチェックしよう!
*霊友会公式ホームページで視聴する方法は、P21をご参照ください。
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【インタビュー】先輩たちの思いを受け継ぎ、私たちが行動する時!
第10回笑顔まつり実行委員長 青年部執行部
菊地悠花
東日本大震災発生当時、私は小学4年生でした。自宅が津波の被害にあったため引っ越しを余儀なくされ、友達と離れ離れになりました。寂しさと、新しい環境になじめないつらさに落ち込む毎日でしたが、家族や霊友会の先輩たちに支えられ、少しずつ前向きになりました。そして、無事に社会人になることができたんです。
今回の「笑顔まつり」に向けて、仲間と一緒に交流のある団体に足を運び、震災からどのように立ち上がってきたのか、話を聞いたときのことです。震災で大切な仲間を失ったこと。地元を元気にしたい、子どもたちに明るい未来を手渡したい一心で、被害を受けた施設を立て直してきたこと……。みなさんが、どんなにつらい状況でも、人を思い、行動してきたことを知りました。そんな人たちがいたから、地元は復興に向かうことができて、今の私たちがいるんだと思い、胸が熱くなりました。
震災から年以上経った今も、大切な人を亡くした悲しみを抱えている人、避難先から地元に帰れず、苦しんでいる人がたくさんいます。これまで地元に尽くしてきた人たちのように、今度は私たち若い世代が地元の人たちにたくさん声をかけ、心の居場所をつくり、笑顔にしていく時です。次の「笑顔まつり」に向けて、仲間と共にOurおせっかいに取り組んでいきます。
【ヤングミセス 子育てサロン】母と子の幸せのために
ある調査によると、子育て中に孤立や孤独を感じたことがある女性は74%にのぼる。核家族の増加、男性の育児休暇取得率の伸び悩みなど、さまざまな社会背景の中、誰にも頼れず、ひとりで悩みながら子育てをしている母親は多い。
※「ヤングミセスのつどい」は、親子でいろんな人とふれ合い、元気になれる場だ(2013年3月撮影)
※妙一会の行事でも、ヤングミセス同士で話せる時間が設けられてきた(2017年10月「妙一会オータムスクール」)
この問題に目を向け、宮城県の青年たちはかねてから、子育て中のヤングミセスが対象の活動を行ってきた。その一つが「ヤングミセスのつどい」。母親同士で子育ての悩みも喜びも分かち合い、子どもを伸び伸びと育てるきっかけをつくる場だ。もともと年に数回行われていたつどいが、5年前から毎月行われるようになり、少しずつ参加者が増えてきた。一昨年からはオンラインにシフト。コロナ禍を生きる母親たちの心の拠り所になっている。
また、昨年から「子育てサロン」がスタート。子育ての先輩や社会で活躍している方の話を聞いて、子育てに役立てる。母親だけでなくいろんな世代・立場の人も、身近にいる親子のために何ができるかを考える。そんな場となっている。これまでに、地域で子育て支援を行う団体から講師を招き、日頃の活動を通じての実感や、地域の子どもたちと関わる中で大切にしていることを聞いた。
「ヤングミセスのつどい」「子育てサロン」に参加して前向きになった母親は多い。その中の1人を紹介する。
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【インタビュー】受けとめてくれる。元気が湧いてくる
Iさん
中学1年の娘、5歳と1歳の息子の子育てをしています。毎日が慌ただしく、子どもが言うことを聞いてくれなかったり、忙しいイライラを子どもにぶつけそうになったり、悩みが尽きません。そんな私にとって、心の支えとなっているのが「、ヤングミセスのつどい」の仲間です。つどいでは、みんなが話を聞いてくれる。その上、問題を解決するために何から始めたらいいのか、一緒に考えてくれる。家族ぐるみの付き合いになって、支え合えるのも頼もしい。みんなも子育てを頑張っているんだなと思うと、元気が湧いてくるんです。
つどいの仲間に誘われて参加した「子育てサロン」は、さらに前に進むきっかけとなりました。第1回の講師の方は、地域で子育て支援を行う団体の設立者。長年、専業主婦をされていたので、私たち母親の気持ちをよく分かってくれました。「年の離れているお子さんの子育ては大変でしょう。頑張っていますね。ご苦労さまです」。心のこもったひと言に、涙が出るぐらいうれしくなって……。これまで大変だったことが、一気に報われたように感じました。母親はいくら子育てを頑張っていても、誰かに褒められたり、認められることはあまりありません。私も講師の方のように、周りのお母さんたちの気持ちに共感して、元気づけたい。そう強く思いました。
みんな、共感してほしいんだな
「子育てサロン」終了後、いつも関わっている会員やママ友から話を聞いていきました。子どもが友達にケガをさせてしまったこと。反抗期の子どもに反発されていること。みんなそれぞれ、子どもとどう向き合っていいのか、不安な気持ちを話してくれました。中には「こんなこと、Iさんにしか話せなくて」と言ってくれたママ友も。気が済むまで話してもらって、「大変だったね」「分かるよ」という言葉をかけると、どの人も喜んでくれたんです。みんな、話を聞いてもらいたいんだな。共感してほしいんだな。これからも、周りの人に声をかけていこうとあらためて心に決めました。
つどいや「子育てサロン」に周りの人を誘って一緒に元気になり、未来を担う子どもを伸び伸びと育てていける仲間の輪を広げていきたいです。
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