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2024.6.1
海の向こうで見つけた大切なもの―
大阪府 H.Hさん 23 歳
「ぼくが大学に入学したのは、ちょうどコロナ禍が始まった頃。入学式も講義もオンラインでサークル活動も自粛。思い描いていた大学生活とまるで違っていて……。なんのために大学に進学したのか分からなくなり、講義を休みがちになりました。そんな自分を変えたくて選んだのが海外渡航。大学で学んでいたドイツ語を勉強しようと休学して費用を貯め、昨年4月、ワーキングホリデー制度を利用してドイツのケルンへ渡りました」。
この制度で滞在できるのは最長1年。ドイツの文化にふれるためにも、語学のためにも、語学学校以外の場で地元の人と交流しようと考えたHさん。何か方法はないかと調べてみると、近くに剣道の道場があった。
「中学時代に剣道をやっていたぼくは、これだ!と胸が躍りました。思い切って道場を訪ねると、『剣道が生まれた国の人間が来たぞ!』とめっちゃ歓迎ムード。これを機にぼくのドイツ生活はとても充実したものになったんです。遠征試合で他の都市に行ったり、ドイツ代表選手団の練習に参加させてもらったり……。なによりうれしかったのは、異国の地に大切な仲間ができたこと。ぼくの提案で3人から始めた剣道仲間との飲み会が、回を重ねるごとにどんどん増えていって毎回20人以上が集まる交流の場になったんです。3月に帰国するとき、『H、絶対また戻ってこいよ。待っているからな!』と、みんなが別れを惜しんでくれた瞬間、胸が熱くなりました」。
もう1度、ドイツへ―。この思いがHさんの原動力だ。
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