Voice
2022.2.1
どんな役でもみんなを楽しませる!
人懐っこく、屈託のない笑顔。真剣なのに、どこかコミカルな仕草。どんな無茶振りにも応えてくれそうな、底なしのサービス精神。そんな魅力にあふれる山下翔平さんは、愛知県名古屋市を中心に表現活動を行う劇団「放電家族」に所属する舞台俳優だ。
「子どもの頃から、人を笑わせるのがとにかく好きだったんです。小学校高学年のとき、クラスの『お笑い係』になって、相方を見つけてネタを作り、授業の前に披露していましたね。それでみんなが笑ってくれるのがたまらなく嬉しかった。俺は『人を元気にする係だ!』って思っていました。将来は舞台に立って、たくさんの人を笑わせる、元気にする仕事をするんだと、その頃から思っていました。
両親、特に母親は、そんな夢を抱く私のことを心配して反対しましたが、絶対に夢を叶えたい。高校に行きながらアルバイトをしてお金を貯め、舞台や演技の基礎を学べる地元の専門学校に進学しました。そこに講師として来ていたのが、今の劇団の代表です。シンプルな衣装と舞台装置しか使わず、俳優たちの芝居で勝負するという劇団のスタイルに惹かれて、必死で代表に自分を売り込みました」。
専門学校を卒業後、晴れて劇団の一員となった山下さん。希望に燃えていたのだが……。
「ある作品で、劇中で役者が自分たちで考えた漫才を披露するという場面がありました。そこで、ぼくのネタがこれでもかと言うほどすべったんです。ヤバい、つまんない奴って思われたかな。次もウケなかったらどうしよう。考えれば考えるほど委縮して、その後の公演も空回りしてしまいました。
そんなとき、代表がこう声をかけてくれました。『お前は素がおもしろいんだよ。気にしなくていい』。尊敬する人から背中を押され、勇気が湧いてきました。一度や二度の失敗でくよくよしてどうする。代表の言葉を信じてやってみよう!と切り替えることができたんです」。
数々の舞台に立ち、着実に経験を積んでいった山下さん。しかし、昨年からコロナ禍で公演の中止が相次いだ。
「自粛生活で人に会えない、対面で話せない。ぼくにとってこれほど辛いことはありません。そんなときに参加したオンラインつどい。青年部の仲間が前向きに人のために頑張っている姿から元気をもらったんです。ぼくも一緒につどいを盛り上げていく中で、オンラインでも人に元気を届けられると実感しました」。
今年の8月、山下さんは初めて他の劇団の作品に招かれて客演。オンライン配信を兼ねた舞台に立っていた。複雑な人間模様が絡み合うシリアスなストーリーの中で、絶妙な笑いのスパイスを加える。画面を通して観ていても、彼が登場すると思わずニヤッとさせられる。唯一無二の存在感で観客を魅了した。
「今、純粋に芝居に打ち込めていて、とても充実した毎日です。今後はもっと幅広く、いろんな役に挑戦したい。どんな役でも、俺がその場にいる限り絶対にみんなを楽しませる! たくさんの人に『山下を観たら元気になる』と言われるような舞台俳優になっていきます」。
※台本を読み込み、舞台に立ったときのイメージを膨らませていく
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