Global Voice
2020.7.31
自分のことだけを考えていたら、
他人を傷つけてしまうと気がついた
世界各国に広がっている霊友会の教え。今回は、フランスのパトリック・デュウ(57歳)さんをご紹介します。
パトリックさんは家族仲や人間関係に悩まされてきましたが、霊友会の教えを実践して自分を変えようとしていました。そんな矢先に、長男がある事件に巻き込まれて…… 。
「私はフランスのパリ市で人材育成会社を経営しています。霊友会の教えに巡り合ったのは35年前、学生時代の友人のセシルと再会したことがきっかけです。彼女は『教えに出合ってから、周りの人を見下し、思いあがっていた自分に気づくことができた』と私に話してくれました。彼女を変えた霊友会の教えについて知りたくなって、私も入会しました。
それからお経をあげたり導きに歩きましたが、セシルのように自分を変えることはなかなかできず、人間関係に悩まされ続けました。結婚後は2人の子どもに恵まれましたが、長男と二男がまだ幼い頃に妻と離婚。その後も独善的に自分の道を突き進もうとする息子たちや、周りの人と衝突する変わらない毎日を繰り返す中で、だんだんとお経をあげなくなっていました。
2年前の春。人間関係で悩んでいたとき、教えの先輩から、『答えが出ないときはまず、教えを実践することが大切』と言われて、再び真剣に教えに取り組むようになりました。その2日後、会員から私とよく似た悩みを相談され、私たちは互いの悩みを語り合いました。会員の苦しみを自分のことのように感じ、共に問題を解決していこうと、一緒に教えを実践するようになったのです。
※2015年には来日し、仲間たちと一緒に「身延・七面山恩師御宝塔参拝登山修行」に参加した。中央がパトリックさん
そんな矢先のことです。2018年9月9日、パリ19区で無差別襲撃事件が起きました。7人が襲われたこの事件の被害者の一人が、私の長男だったのです。金属パイプで頭を強く殴られた長男は病院に運ばれ、意識不明の重体でした」。
身の回りで起こることはすべて自分とつながっている?
「長男の手術中、私はずっと考えていました。『身の回りで起こることはすべて自分とつながっていると教えを実践する中で教わった。なら、息子が事件に遭ったのも私に原因があるのか?』と。長男は一命を取り留めましたが、昏睡状態に陥りました。絶望し、犯人を恨む私を励まし、前に進めるように背中を押してくれたのは会員や導きの親でした。
導きの親に、事件やこれからのことを相談する中で、私の家族関係について話し合いました。私と妻が離婚した大きな理由、息子たちにどう接してきたのか……。今までのことを振り返る中で、あることに気がつきました。長男を襲った犯人は直接暴力を振るいましたが、私は妻や子どもたちに対して、言葉の暴力を振るっていたのではないかということです。
私の先祖には、戦争で若くして亡くなった祖父がいます。毎日お経をあげて祖父や先祖を供養しながら、『私には何が足りないのですか? 気づかせてください』と念願しました。
すると、お経をあげていると突然、ある思いが浮かんできました。自分のことだけを考えるから、他人を傷つけてもかまわない。そんなわがままが、暴力事件や様々な争いを引き起こすのではないか。そう思ったとき、『私が周りの人と仲良くなれないのも同じ原因なのかもしれない』と、今までの自分の姿をはっきりと自覚したのです。
私は、事件の犯人を恨むより、自分を変えていくことができるこの教えを一人でも多くの人に伝えていきたいと思うようになりました。また、たとえ長男が目を覚まさなくても、現実を受け入れて前に進もうと決めました」。
仲間をつくって一緒に教えを実践することで、人生を変えられる
「その後、再婚していた元妻が長男を見舞いに来ました。一緒に病院に行った私たちは以前より親しく会話をすることができ、彼女の娘さんのことや、今のご主人とのことなどいろいろな話をしました。
離婚してからの彼女の苦労や思いを知った私は、彼女を一方的に責めてきた今までの自分では考えられないような行動を起こしたんです。『今度、お互いの家族同士で食事でもしないか?』。元妻は承諾してくれ、後日私の自宅で、まるで同じ家族のように食卓を囲んで楽しい時間を過ごしました。
その後も私は友人や街を歩く人に教えを伝えていきました。時には人から批判を受けることもありますが、相手のためを思って自分から動くと充実感が残ります。積極的につどいを開き、会員の悩みが解決するまで寄り添うことを心がけました。
そして、驚くことが起きました。長男が昏睡状態から回復の兆しが見え始めたのです。目覚めたばかりの長男には障がいが残っていましたが、担当医の支援のもとで言語療法などのリハビリを重ね、徐々に回復しつつあります。あの事件当時からは考えられないほど元気になり、とても嬉しいです。
今までの私は、悩みがあっても自分からは何もしてきませんでした。しかし、仲間をつくって一緒に教えを実践することで、人生を変えられると知りました。この喜びを多くの人に伝えていきたいです」。