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2024.1.1

つらい思いをしている人に手を差し伸べる勇気

フィリピン共和国 ハニー・エラ・エバス(24歳)


3人姉妹の長女として生まれ育ったエバスさん(中央)。次女のヒラリーさん(左)と
三女のハナンさん(右)とはとても仲良し

レイテ島で家族と暮らすエバスさん。内向的な彼女は母と一緒に霊友会の教えにふれていく中で、他人と深く関わるようになった。夫の暴力に苦しむ近所の女性や、身寄りのない同級生の少年…。周りの人たちの困難を打開するためにできることを探し、支えている彼女の思いを聞いた。

レイテ州タクロバン市。奥にはサンペドロ湾が広がる

レイテ州サンイシドロ市の市庁舎の前で

|   他人と親しくするなんて想像もできなかった

私の趣味は家で絵を描いたり、読書をしたり、料理やお菓子作りをすることです。一生懸命に描いた絵を家族に褒めてもらったり、手料理を喜んでもらえるのが、大きな喜びでした。そんな私を、家族はいつも温かく見守り、育ててくれました。


父のホセリトさんと母のマーロニタさん(前列)、姉妹たちと一緒に写るエバスさん(右)

でも私は、学校や外で友達をつくるのが苦手でした。私は内向的で、自分の好きなことや気持ちを友達と共有したいと思っても、受け入れてもらえなかったら、嫌われてしまったら…。そんな怖さがいつも先走ってしまうのです。

私が幼い頃に霊友会に入会した母のマーロニタは、私たちに命のつながりと先祖供養の大切さを教え、家族で毎日お経をあげるようになりました。

そして、母と一緒に支部のつどいや行事に参加。その会場にはいつも、私と年の近い子がたくさん訪れていました。私はみんなの輪に入るのが、とても不安でした。ですが、霊友会の人たちは私を受け入れようと、心を尽くして接してくれたのです。

やがて、少しずつ心を許せる友達もできていき、いつしか、支部のつどいや行事に参加するのが楽しみになっていきました。中でも私は、「両親への手紙コンテスト」が、特に心に残っています。

初めて会った子や、いつも私に仲良くしてくれる子も次々と壇上に立ち、自分が体験したつらかったことや嬉しかったこと、将来の夢を自分の言葉で語っていました。自分の気持ちを人に伝えることが苦手な私には、みんなの姿が輝いて見えたんです。

それと同時に、「子どもへの手紙コンテスト」も開かれていて、大人たちのメッセージから様々な人生や境遇を知りました。子どもの幸せを願いながらも、うまくいかなかった今までの自分を振り返る人。貧しい環境で家族が生きていくために、苦難を乗り越えようと努力する親の姿。親子が共に、様々な思いを抱えながらも、気持ちを伝え、前に進もうとする人たちの姿を見て、私は感動したのです。こんな場所があるんだと、親戚やクラスメートにもよく伝えていました。


「両親への手紙コンテスト」の参加者らに賞品を手渡すエバスさん

|   身寄りの無い同級生を放っておけなかった

フィリピンでは、貧困の連鎖や過酷な生活環境の中で追い詰められてしまう子どもが少なくありません。私の同級生だったクリストファーさんもその一人でした。彼は15歳の時に唯一の肉親である母親を突然亡くし、身寄りもありません。頑張って働きながら学校に通っていたのですが、生活のすべてを一人で背負う中で孤独感を深めたのか、自殺未遂を図ったことも……。私は、彼のことを他人事と放っておけなくなりました。

コンテストや支部の行事に彼を誘おうとも思いましたが、私がいったいどんな力になれるのだろう、という迷いもありました。悩んだ末、母を導いた先輩に相談すると、こう教えてくれました。

「つらい思いをしている人がいれば、ためらわず、勇気を出して手を差し伸べることが大切。彼に教えを伝えて、共に歩んでいきましょう」

私はその言葉を胸に、クリストファーさんに霊友会のことを話しました。彼のお母さんの供養を一緒にしたいこと。彼を支えたい私の気持ちを、自分の言葉で伝えました。彼は思うところがあったのか霊友会に入会し、彼の家で一緒にお経をあげるようになりました。

クリストファーさんと一心に手を合わせていると、彼のお母さんがどんな気持ちで息子を遺していったのだろうと、胸にこみあげてきます。未熟な私でも、彼のために何かできることを探そうと決意しました。

クリストファーさんは私と一緒にお墓参りをしたり、つどいに訪れ、参加者と絆を深めていく中で、少しずつ気持ちが軽くなってきたそうです。その後、彼は無事に学校を卒業し、今は一生懸命に働いています。私は彼の笑顔を見る度に、幸せな気持ちがあふれてきます。

教えを周りの人に伝えると、困ったり、悩んでいる人が地域に数多くいることに気がつきます。進路に悩む友達や、夫に暴力を振るわれて青あざが絶えない女性。そんな彼らの力に少しでもなれればと、教えを伝え、一緒にお経をあげ、つどいを開いています。

彼らに、少しでも心穏やかに暮らしてもらいたい。その思いが、私が会員と一緒に霊友会の教えを実践する理由であり、実際にその姿を見られることは大きな喜びです。私自身も、幼い頃から他人を怖がって本心を隠し続けてきた自分に気がつき、改めていきたいと思うようになりました。

今、私は育ててくれた地域に恩返しをしようと思っています。クリスマスやお祭りで子どもたちにプレゼントを配ったり、住む地域が台風で被害を受けた際には、必要な物資を各家庭に届ける活動に取り組みました。そんな私に、家族はいつも協力してくれていて、ありがたいです。

子どもの頃の私を温かく見守ってくれた、亡くなった冨田勝・康子支部長夫妻や、霊友会の教えを通して出会えた人たちに感謝の気持ちでいっぱいです。これからも支えてくれる会員さんと一緒に、一人でも多くの人の幸せのために、この教えを人に伝えていきます。