Global Voice
2019.9.28
一人ぼっちの子どもたち
その姿は孤独だった私と重なった
世界各国に広がっている霊友会の教え。今回は、アメリカ合衆国のシカゴ地区にお住まいのマルセリーノ・パンガンさん(33歳)をご紹介します。
彼はアメリカ合衆国イリノイ州シカゴ市の生まれ、8人兄姉の末っ子で幼い頃に両親は離婚し、彼と彼の姉の一人は父に連れられ、両親の母国であるフィリピンに移住します。そのあとすぐに里子にだされるのですが、フィリピンでの生活は貧しく、学校に行かずに家事手伝いをし、失敗すると罵られ、体罰を受ける日々を送っていたそうです。
9歳の頃に、顔も忘れかけていた実母が彼を迎えに来ました。シカゴに戻り、学校に通い始めましたが、英語を話せない彼はみんなに笑われ、家では兄弟たちにいじめられる毎日だったそうです。
結局は、人は独りで生きていくのか?——
「逆境に負けたくない」。必死に勉強を重ね、麻酸技師の資格を取得し、今はシカゴ市の病院で働いているパンガンさん。けれども、フェリピンに住む父親、命令ばかりする母親、彼と両親の関係は決して良好とは言えない状況でした。そんな時、霊友会の教えに出会います。彼が27歳のときです。
社会奉仕活動に興味があった彼は、アメリカ霊友会シカゴ地区が展開していたリサイクル教室に参加し、そこで導きの親である今の奥様との出会いがあります。
「彼女は心が広く、常に自分よりも周りの人のことを気にかけていました。彼女と一緒なら、お互いの足りないところを補い合っていけると感じて結婚。それから妻と一緒に霊友会の教えに取り組むようになりましたが、最初はそんなに真剣にはなれませんでした。心の奥底でずっと、『今まで私に誰もかまってくれなかった。結局、人は独りで生きていくんだ』と考え、他人と関わることを面倒に思っていたからです」
そんな中、リサイクル教室では、障がいのある子どもたちとの触れ合いの中で、家族と離れ、自分の家族のことを知らない子たちがいることを知ったパンガンさんに変化が生まれます。
「子どもたちはみんな『家族のことをもっと知りたい』と心から願っていて、その姿に、幼い頃の一人ぼっちの私の姿が重なりました。そのとき、私のような寂しい思いはしてほしくない。私に何ができるのか?と考え始めました」
それから奥様に誘われて、霊友会が地元の団体と共催する「両親への手紙コンクール」の運営に携わるようになります。
「コンクールに参加する青少年のほとんどは、私と同じようにアメリカ人以外の親を持つ移民でした。そして、様々な事情で両親とすれ違う青少年が少なからずいました。彼らは真っすぐな言葉で私に思いを伝えてきます。『もう一度、親と話したい』『家族と一緒に過ごしたい』と涙を流しながら訴えてくる青少年もいました。コンクールに参加した青少年たちの何人かとは、その後つどいでも関わるようになり、他人事とは思えなかった私は、霊友会の教えを実践して感じた思いを伝えるようになりました」。
障がいのある子どもやコンクール参加者と関わるうちに、パンガンさんは「霊友会の教えを世の中に広げることで、孤独な子どもを一人でも多く減らせるかもしれない」と人の気持ちに寄り添うことの大切さに気づいたのです。
自分のことだけを考えず、周りの人の思いに気づける人に——
「彼らのように、私も自分の親と向き合おうと決め、母に霊友会の話をすると、『最近のあなたは変わったね』と、先祖の話や、私の幼少期のこと、父と母のこと、私が知らなかったことを話してくれました。母は教えに共感し、私の初めての会員になってくれたのです」。
これからもパンガンさんは孤独な子どもたちを支えながら、霊友会の教えを伝えていくと話しています。
「一人でも多くの子どもが、先祖や親、周りの人の思いに気づける人に育ってほしいと願っています」