13.菩提心をもって世のため人のために奉仕をする大切さを確信

菩提心をもって世のため人のために奉仕をする大切さを確信

小谷恩師は、今回の視察旅行で訪問した欧米各国の赤十字社を訪ね、招請を受けたことのお礼や、日本の水害復興に援助をいただいたことへの感謝を伝えられた。恩師の左隣は随行の濱口八重国友婦人会理事(後に第二十二支部長、第3代会長)

昭和28年(1953年)、日本赤十字社の親善大使として欧米各国の福祉施設と社会事業を視察された霊友会初代会長・小谷喜美恩師。ロサンゼルスでの視察後、アメリカ西部内陸部のデンバー(コロラド州)を経て、東海岸のワシントンD.C.へと移動され、視察を続けられました。

小谷恩師は後年、次のように回想されています。

ロサンゼルスでの視察を終えると、サンフランシスコを経てデンバーにまいりました。到着の翌日、米国赤十字社デンバー支社を訪問し、支社長と監督官にお目にかかり、日本が水害に見舞われた際に、同社からさまざまな援助の手を差し伸べていただいたことへのお礼を申し上げました。  

お二人の説明によると、デンバー支社は米国赤十字社の通信の中心地だそうでございます。見学させていただくと、たくさんの通信機器が稼働しておりました。そこで働いている方々はみなさん女性で、全員が無報酬の奉仕でございました。日本と比べて、生活の豊かさの違いはあるにしても、社会のために心から奉仕の精神で働いておられるみなさんの姿はまことに美しく、強く心を打たれました。  

デンバーに数日滞在した後、ワシントンに向かいました。ワシントンでは米国赤十字社の本部を訪ね、奉仕事業主任の方から一般民間人の奉仕事業について詳しい説明を受けました。そのお話をうかがって感心させられましたのは、一般民間人による奉仕活動が、ただ単に奉仕の心で集まってくる人々の善意だけで行われているのではないということでございます。集まった人々に、それぞれの専門部署が十分な訓練を施し、そのうえで中央の監督者が全体を把握して、どのような事態にも迅速に対応できるように、しっかりとした連絡網が敷かれているのです。そこに〝奉仕活動〟をとても大切なものと考える米国赤十字社の姿勢を感じたのでございます。

特に印象に残りました点は、ごく一部の職員のほかは無報酬で働いておられるということと、ほかの社会福祉事業団体ともどんどん連携・協力して活動を展開されているというところでした。

家庭や学校での教育を 通じて、子どもの頃から 奉仕の心を養う

その翌日には、青少年赤十字の関係者幹部の方々とも会見し、日本から送られた小学生の絵などを見せていただきながら話し合いました。感心いたしましたのは、人々に奉仕の心を養ってもらうために、国をあげて子どもたちへの教育に力を入れているということでございます。

「人は、お互いに助け合う心が必要です。誰かが困っていたら、みんなで手を差し伸べる。誰もがそうした心を持てるようになるために、子どもの頃から、家庭や学校での教育が大切なのです」  

このように、関係者の方々が異口同音に話されましたが、一般国民がおつきあいでなく真心をもって奉仕を行っているのは、ここに大きな理由があると深く思わせていただき、〝教育の力〟というものを、あらためて教えられた気がしました。

 ただその場だけの協力を求めるのではなく、人々に奉仕する根本の精神を養っていただくように働きかけていく姿勢というものは、私が今日まで会員のみなさんに教えを通して菩提心をもち、世のため人のために奉仕をしていただくようにお願いしてきたことと同じであります。これはやはり間違いではなかったと確信いたしました。そして、帰国後も募金活動等に全面的に協力させていただくことを固く決意したのでございます。