海洋ごみにもさまざまな種類があるが、もっとも問題とされているのがプラスチックごみである。海洋ごみの65パーセント以上をプラスチックごみが占める。その素材の性質上滞留期間が長く、中には400年以上海の中を漂うものもあるという。
出典:環境省「海洋ごみをめぐる最近の動向」(平成30年9月)
◇海岸清掃活動を通して社会に役立つ仲間づくり◇
世の中の問題を他人事(ひとごと)にせず、自分にできることから社会に貢献していく。そんな青年を目指すためのコーナー。
Myおせっかい高知県推進委員会では、12年前から地元の青年部が参加している「高知海岸パートナーシップ」(*)に力を入れています。今月は、その活動に周りの人を誘って参加している青年に話を聞きました。
*「高知海岸パートナーシップ」…… 行政と県民が協力して海岸環境を守る活動
【INTERVIEW】
Myおせっかい高知県推進委員会 委員長 堀田耕司さん 28歳
| 同じ志をもつ人をたくさん増やしたい
私は学生の頃から母に連れられて、「高知海岸パートナーシップ」の清掃活動に参加していました。いろんな年代の人たちとふれ合いながらごみを拾うのは楽しいし、海岸がきれいになると気持ちがいい。そう感じながら参加してきた私が、今年からMyおせっかい高知県推進委員長として、活動を企画することに。支部の仲間に参加を呼びかけるだけでなく、周りの友達を誘ってみようと思ったんです。
そこで最初に思い浮かんだのが、小学校からの親友・Aくんでした。私が霊友会をやっていること、昔から海岸清掃活動をしていることを伝えて、「俺が企画してるから来てよ」と声をかけました。彼は「行くよ」と即答。4月の清掃活動に一緒に参加しました。
その日は青年部執行部の人が香川から参加してくれて、「海洋プラスチックごみ」問題について調べたことを話してくれました。最近よく耳にするので、地元の海岸ももしかしたら……と気になっていた問題です。Aくんも興味深そうに聞いていました。
清掃活動をしながらあらためて海岸を見てみると、燃えるごみよりもはるかに、ペットボトルや発泡スチロール、細かいプラスチックの破片など、プラスチックごみがたくさんありました。Aくんも「こんなにあるんだ」と驚いていました。
Aくんと一緒に、たくさんの仲間とふれ合いながら行う清掃活動はいつもより楽しかったです。彼も清掃活動やその後のつどいを楽しんでくれたようで、「また参加したい」と言ってくれたんです。友達が地元を良くする仲間になってくれたのがうれしく、心強く思いました。「海洋プラスチックごみ」問題は規模が大きく、1人や2人で解決できるようなことではないけど、同じ志をもつ人を増やしていくことで、少しずつ変わっていくかもしれない。Aくんのおかげでそう感じました。
海岸清掃を通して地元を良くしよう。参加者に熱く呼びかける
| 声をかければ一緒に活動してくれる
7月に行われた清掃活動には、ぼくたちの共通の友達であるBくんも誘いました。学生の頃にヤンチャしていた彼。誘っても「面倒くさい」と断られるかもしれないな……。迷いましたが、やっぱり彼と一緒に活動したいと、思い切って声をかけました。Bくんは意外にも「行ってもいいよ」と。Aくんと3人で参加することができました。
Bくんが途中で飽きないかなと心配していたんですが、彼は最後まで一生懸命、ごみを拾っていました。「いつもの遊びと違って、こういうのもたまにはいいな。また誘って」と彼。Aくん、Bくんのように、声をかければ一緒に活動してくれる人がいるんだと実感しました。
実は、清掃活動を機に、以前よりもAくんとの絆が深まったように感じていて―。先日、Aくんを家に招いてつどいをしたときのこと。彼が「今の職場が合わないから、転職したい」「人の役に立つ仕事がしたいから、警察官か、消防士を目指そうと思う」と話してくれたんです。すごく驚きました。彼は自分の弱みを見せたくないのか、普段はあまり自分の話をしてくれないから。清掃活動を機にぼくが霊友会をやっていることを初めて伝えたり、活動後のつどいで仲間と今の状況や悩みを話したりしていたことが、Aくんの心に響いたのかもしれません。
彼に「警察官も消防士も、どっちもAに向いていると思うよ」と言うと、うれしそうに「背中を押してくれてありがとう。頑張って勉強するよ」と。今、彼は公務員試験に向けて猛勉強をしています。
Aくん、Bくんと活動できたことで、プラスになることがたくさんありました。他の友人・知人にも声をかけて、一緒に元気になり、地元を良くする仲間の輪を広げていきたいです。
仲間と協力して、ごみを丁寧に拾っていく
「海洋プラスチックごみ」問題とは?
海岸に打ち上げられる「漂着ごみ」、海面や海中を漂う「漂流ごみ」、海底に積もった「海底ごみ」。それらの総称である「海洋ごみ」の中で、最も問題となっているのがプラスチックごみだ。毎年、世界でジャンボジェット機5万機分(約800万トン)が新たに海に流れ込んでいる。
プラスチックは自然界で分解されにくく、400年以上海の中を漂う可能性もあるという。そのため、海の生物が餌と間違えて食べたり、ごみが体に刺さったり、巻き付いたりして死んでしまうことが日常的に起きている。海の生態系に様々な悪影響を及ぼしているのだ。
海の豊かさや未来を守るために、私たち一人ひとりが問題意識をもつことが大切だ。