倉敷市では昨年、770カ所の「通いの場」ができました。地域で支え合う関係を広げるために、倉敷社協で大切にしている「通いの場」。公民館や集会所でみんなが集まってわいわいおしゃべりしたり、体操や釣り、料理などの趣味に取り組む、地域の中の居場所です。
地域で支え合い、希望と喜びにあふれる社会に希望と喜びにあふれる社会に
社会を学ぶサロン 中国ブロック10月24日
これまでに地元で取り組んできた活動に留まらず、自分たちにできる社会貢献活動を探し、取り組んでいきたい。そんな思いから、各地の「Myおせっかい推進委員会」で「社会を学ぶサロン」を開催しています。
中国ブロックでは、倉敷市社会福祉協議会(以下、倉敷社協)で生活支援コーディネーターを務める松岡武司氏を迎え、「△(参画)は〇(えん)になる~地域共生社会の実現に向けて~」をテーマに講演していただきました。ここでは、松岡氏の講演の一部と、参加者の声を紹介します。
※倉敷市社会福祉協議会 第1層生活支援コーディネーター 松岡 武司 氏
誰もが、ちょっとしたことから人を支えることができる
生活支援コーディネーターとして地域の人たちと関わる中で、シニア世代の方にこんなことを言われるようになりました。「若い世代だけじゃなくて、自分たち仕事をリタイアしたおっちゃん、おばちゃんも元気だよ。みんなが地域で役割、生きがい、居場所をつくって、お互いを支え合っていくことが大切だよね」と。誰かを支えたいと考えるアクティブシニアの方が大勢いるんだと実感しています。
地域には体が不自由で外出が困難なお年寄りや、他県から引っ越してきて周りに頼る人がなく、ひとりで子育てをしているママなど、いろんな困りごとを抱えている人がたくさんいます。そんな人たちを、介護・医療などのサービスだけに任せるのではなく、若者もシニア世代もみんなで力を合わせて支えていくことが今の社会で求められているんです。
少し前まで、誰かを支援するには民生委員など、社会的な立場が必要と考えられていました。これからは、そのイメージを変えていく必要があります。お年寄りのゴミ出しや移動を手伝う支援もあれば、散歩で会ったときに話を聞いたり、様子を見る支援もある。にっこり笑いかけることだって支援の一つです。誰もが地域で人のために活躍できる役割や居場所、生きがいを見つけ、支え合う関係をつくっていく。そしてみんなで自分らしい、幸せな暮らしを実現していくことが大切なんです。
※インナートリップセンター岡山で行われた「社会を学ぶサロン」の様子
2人からつくれる!元気になれる居場所
地域で支え合う関係を広げるために、私たち倉敷社協で大切にしているのが「通いの場」。公民館や集会所でみんなが集まってわいわいおしゃべりしたり、体操や釣り、料理などの趣味に取り組む、地域の中の居場所です。倉敷市では昨年、770カ所の「通いの場」ができました。
例を挙げますと、数年前から開いている、定年退職したお父さんたちの集まる場があります。退職して家に引きこもらずに、男同士で集まって飲み会でもしよう。最初はそんな軽い集まりでした。そこから料理を覚えようと料理教室を開き、奥さんたちに料理をふるまい、喜んでもらうように。さらに、ボランティアチームをつくって地域の子ども会の支援活動に取り組むようにもなりました。
子育て中のママを対象にした「通いの場」もあります。ママ同士で子育ての悩みを話し合うことからスタートしましたが、実はみんな、自分たちの子育てを他の世代に認めてもらいたい気持ちがあると分かりました。そこで、地元の介護施設に一人暮らしのお年寄りも呼んで、三世代交流サロンを始めてみたんです。
お年寄りが子どもを見てくれている間、ママ同士で話せる。子どもやママにとっては地域に頼れるおじいちゃん、おばあちゃんができる。おじいちゃん、おばあちゃんにとっては孫ができる。みんなが元気になれる場となりました。
最初は気軽な集まりでも、会って話すうちに一人ひとりの暮らしぶりが分かってくるんですよね。いつも会う誰かが困っていたら、おせっかいを焼きたいと思う。自分に困ったことが起きたら、気軽に助けを求められる。そんな関係ができてきました。2人からつくれて、笑顔と元気を分け合うことができる「通いの場」が地域で必要とされているんです。
普段からのつながりが、いざという時に生かされる
3年前、「平成30年7月豪雨」が発生し、岡山県は大きな被害を受けました。そのとき、普段からの住民同士のつながりが生かされたんです。お年寄りに安否確認したり、一緒に避難したり、炊き出しなどで助け合ったり、集まってこれからの街づくりを話し合ったり……。住民同士で連携できたからこそ助かった命があり、みんなで復興に踏み出すこともできたんです。
そんな、いざという時に発揮できる地域住民同士のつながりが、最近は新型コロナウイルス感染拡大の影響で希薄になりつつあります。人と会い、集まる機会が減ったことで、誰とも話せず、ひとりで悩む人が増えているんです。
そこで、身近な拠点で多くの人の困りごとを受けとめ、支援につなげる活動を始めました。地域で集めた食材・生活雑貨をもとに子ども食堂を開いたり、引きこもっている人に届けて安否確認をする「互近助(ごきんじょ)パントリープロジェクト」もその一つ。霊友会のみなさんからも、災害備蓄品をご提供いただきました。地域のみなさんのおせっかいで、早い段階で地域の人の困りごとに気づき、支援につなげることができています。
地域の人たちが互いに助け合うことで、誰もが「ひとりじゃない」と思える。一人ひとりが自分らしく暮らせる。そんな希望と喜びにあふれる社会をみなさんと共に目指していきたいと思います。人に寄り添う「Myおせっかい」。私もみなさんと共に取り組んでいきます。
★助け合いのきっかけは、ちょっとしたことから!
中国ブロックの青年たちと倉敷社協とが出合ったのは、中国支局の災害備蓄品を活用できないかと、倉敷社協に相談し、「互近助パントリープロジェクト」(本文参照)に寄付することになったのがきっかけなんだ。そこから松岡氏との交流が生まれ、今回の「社会を学ぶサロン」が実現したんだ。 特別なことをしなくても、ちょっとしたことで地域に貢献できることがある。みんなも自分にできることを探してみよう!
【社会のためにできることって何だろ?~「社会を学ぶサロン」で感じたこと~】
・子育てが終わってから、地域とのつながりが減っていました。町内便りや社協の広報誌に目を通して地域の活動に参加したり、ご近所さんに目配り・気配りをしていきたいと思います。(50代・女性)
・周りの人を元気にして、地域を良くしていきたいと思いました。挨拶や、声かけから頑張ります。(30代・男性)
・5年前、大学進学を機に新潟で暮らし始めたときは、大学以外で人と会う機会がなく、どこか物足りなく感じていました。新潟県のつどいや清掃活動に参加するようになってから、いろんな年代の人たちと出会いました。壮年の先輩たちがひとり暮らしのぼくを気にかけてくれたり、社会人の先輩が就活の相談に乗ってくれたり……。今思えば、講師の松岡さんが言われる地域の居場所だったなと感じています。今年の4月から、就職を機に広島に住んでいます。今度はぼくが誰かの居場所をつくれるように、推進委員の仲間と力を合わせて頑張ります。(Myおせっかい広島県推進委員・永盛久継さん)
・このサロンに参加するまで、社会を良くするために、何から始めたらいいか分かりませんでした。でも、松岡さんのお話を聞いて、ヒントがもらえたんです。地域では、何でも話せて元気になれる、つどいのような場が求められている。つどいをたくさん開いていくことも、社会貢献になるんだと感じました。青年同士で集まるつどいや、倉敷市の三世代交流サロンみたいに、いろんな年代の人が協力し合えるつどいなど、やりたいと思ったことはすぐに行動していきたい。推進委員の仲間や友達と一緒に、多くの人に喜んでもらえる活動に取り組んでいきます。(Myおせっかい岡山県推進委員長・妹尾道子さん)
・松岡さんのお話を聞く中で、お年寄りの農家のお手伝いをするとか、ちょっとしたことからでも、仲間と一緒に地域に貢献していきたいと感じました。
私の周りにいる友達は、仕事や育児に追われていて「自分のことで精いっぱい。社会問題を考える心の余裕がない」と言う人がほとんどです。そんな人たちのために、私たち一人ひとりが身近な人に声をかけて、元気に、笑顔になってもらう。そして今度は同じように困っている人のために、一緒に行動していくことができれば、世の中はもっと良くなると思いました。中国ブロックの仲間と共に、身近な人への声かけと、社会貢献活動にこれからも取り組んでいきます。(地域活動推進部ブロック部長・韓 麗奈さん)