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REIYUKAIボランティア
REIYUKAI
ボランティア
2023.11.1
青年が自分を見つめ、
変われるチカラを育てていく
NLAアドバイザー 橋村 隆二さん(47歳)
地域や学年の垣根を超えた中高生が集まり、イベントづくりなどに取り組む活動がある。時には仲間とぶつかり合いながらも本音を語り合い、自分らしく生きるきっかけをつかんでいる。46年にわたり続いてきたその活動で、中高生たちを支え、励ましている人を追った。
| 中高生たちの主張は“自分”から逃げずに向き合った集大成だった
9月24日、愛知県名古屋市でNLA(ニューライフ・アドベンチャー)運動(※)の一環として、「ナキワラ! 東海北陸地区合同ライブ」が開かれた。主張や音楽、ダンスなど様々なパフォーマンスで自分を表現する中高生たちの晴れ舞台だ。
その様子を観客席から見守る橋村隆二さん(47歳)は、NLA東海北陸地区のチーフアドバイザーだ。20年以上にわたってこの任を務め、その時々の中高生の思いを受け止めてきた。
橋村さんは祖父母の代からの霊友会の会員。つどいや弥勒山セミナーによく参加し、気が合う青年部の仲間と一緒に過ごす時間が楽しかったという。
高校時代はサッカー部に所属し、毎日練習に励んでいた橋村さんだが、部活動を引退して大学生になると、情熱をもって取り組めることを見つけられずにいた。そんな橋村さんがNLAアドバイザーになったのは19歳の夏のことだった。
支部の先輩から、「隆二、NLAを手伝ってくれないか?」と声をかけられました。NLAには高校時代、青年部の仲間とスタッフとして参加したことはありましたが、部活が忙しくてあまり関わることがありませんでした。ですが、いつもお世話になっている先輩の頼みならと思い、東海地区のNLA実行委員会にアドバイザーとして加わり、「NLA全国高校生の主張(現在のナキワラ!の前身)」のための会合に参加したのです。
しかし、何十人もの高校生たちが集まるその場は困難の連続でした。人それぞれ、やりたいことや気持ちが違うからか、大事な議論が一向に進みません。勝手に話をして司会の言葉も届かず、私たちアドバイザーが会合を取りまとめることもしばしば。こんな状況でいいのかと疑問を感じましたが、先輩からの「一緒にやり遂げよう!」という言葉を励みに、県大会の開催を目指したんです。
そして迎えた大会当日。高校生たちがステージで力強く主張を発表する姿に、私は感動させられました。学校生活の不安、家族関係の悩み、将来の夢……。彼らの主張は、NLA活動を通じて、自分の現状や気持ちから逃げずに向き合ってきた集大成でした。仲間や世の中に向けて、ありのままの自分を伝え、少しでも前に進もうと努力している高校生たちが、まぶしく見えました。
同じ頃、弥勒山で出会ったある支部長から、こんなアドバイスをもらいました。「NLA運動に関わるからには、自分を変えていくことが一番大切だよ」。何となく日々を過ごしていた当時の私の心に響いて……。「NLAで頑張っている学生たちを支えたい」という思いを胸に、アドバイザーとして彼らと真剣に向き合う決意を固めたんです。
県ライブ終了後、東海・北陸地区の代表者を決める選考会でスタッフと意見を交わす。橋村さんは、「中高生たちが伝える思いとエネルギーに応えるために、私も本気で向き合います。しんどいこともありますが、楽しいですよ」と語る
| 中高生たちと共に、全力で取り組む。その姿勢が信頼を築く
大学卒業後も仕事や生活の合間をぬってアドバイザーとして中高生と関わり続けた橋村さん。その原動力は、中高生たちの成長を間近に接して味わえる実感と喜びだった。
ある実行委員長を務めた女の子は、人見知りで、不満があっても内に溜め込んでいました。彼女と接していると、自分の努力を認めてくれる人がいない苦しさを抱えているように感じました。
私は彼女に、「一生懸命頑張ってくれてありがとう」と何度も声をかけたり、私も一緒に街頭に立ってビラ配りをするなど、共に全力でNLAに取り組みました。すると彼女は少しずつ変わっていきました。みんなを引っ張っていた県ライブでは舞台の上で、自分たちが伝えたかったテーマを堂々と発表したのです。
ライブのエンディングで、壇上に立つ出演者とスタッフの中高生たちに惜しみなく拍手を送る橋村さん
また、あるアドバイザーの男の子は、地区の中高生を引っ張れる行動力がある反面、人を威圧してしまうような面もあります。私は同じアドバイザーとして彼をフォローしながら、自分の失敗談も伝えたり、彼と腹を割って話す機会も多く持つようにしています。彼は先輩・後輩たちと接しながら、自分の内面とも向き合い、少しずつ相手の気持ちを思いやれるようになってきました。
中高生たちが今を精いっぱい生きられるように、アドバイザーが担う役目は重要です。しかし、運営に介入しすぎたり、中高生の気持ちを無視すると、「NLAはぼくたちのものじゃない」と彼らは感じてしまいます。
私は、迷ったり、悩んだり、揺れ動く中高生の心を支えていくために、彼らの思いを絶対に否定しないことを心がけています。たとえば会合で、おかしいと思う意見が出てきても、最後まで耳を傾けて、なぜその意見なのか思いを聞く。そうすることで彼らと信頼関係を築けるんです。彼らは、今の自分を本気で受け止めてくれないような大人には、決して心を開きません。
ライブ終了後、出演者・スタッフ一同にチーフアドバイザーとして挨拶。ライブを終えての思いと心からの感謝を伝える
NLAのアドバイザーは難しさもありますが、未来を担う中高生と接し、成長に立ち会える充実感は計り知れません。私をNLAにつなぎ、いつも励ましてくれた先輩や、真剣に言葉をかけてくれた支部長には感謝でいっぱいです。
時代が移り、学生たちの抱える事情や思いは様々に変わっていきますが、人と関わる中で新しい生き方を見つけるNLAの本質は変わりません。私はこれからも中高生たちと力を合わせ、一人でも多くの人にNLAの輪を広げていきたい。このNLA運動を未来につなげていけるよう頑張ります。
※NLA運動=昭和52年(1977)から始まった中高生自らが企画・運営する運動。ライブイベント「ナキワラ!」の企画運営やティーンズミーティング、ボランティア活動などを通じて、自分たちの生き方を人と共につくっていくことを目指す。
<社会貢献 まめ知識>
増え続ける子どもの自殺。いのちを救う電話相談員
厚生労働省の調査によると、令和4年(2022)に自ら命を絶った小・中・高校生は514人と、過去最多を記録。年々増加傾向にあります。
その理由の上位は、「学業不振・進路の不安」「家族の不和」と、子どもたちの生活に根ざす原因が多くを占めています。誰にも相談できずに孤独を深め、追い詰められてしまう子どもたち。そんな苦しみを抱える子の助けになりたいと、社会福祉法人などに所属するボランティアの電話相談員がいます。
相談員は相手の言葉を傾聴し、心から受け止め、電話口の向こうの命を救おうと日々、活動しています。しかし、コロナ禍の影響や高齢化などから人手不足に直面し、思うような活動ができないケースも……。
悩んでいる人を放っておけない―。一人でも多くの命を救いたい、その気持ちを行動に移せる人が今、社会全体で求められています。