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REIYUKAI
ボランティア

2023.4.1

一人ひとりの命を大切に
笑顔で暮らしてほしいから

相談支援専門員 渡邊晴江さん(58歳)

生活していく上での困りごとを相談されたとき、まずは相手の気持ちに立って、長年の経験を生かし、様々な提案をする

 様々な理由で、生活に困窮してしまう人は数多く、行政の生活支援が行き届かないケースもある。

 障がいのある人や、体の自由が利かなくなった高齢者、突然の災害で家や家族を失った人……。困っている人たちを、少しでも支えたい。20歳の頃から障がい者福祉の仕事に携わってきた渡邊晴江(わたなべはるえ)さん(58歳)。平成20年(2008)から、障がいのある人の生活を支える相談支援専門員を務めている。

 誰もが安心して生きていける地域社会にしたいという渡邊さんの思いとは?

 |   障がいのある人たちの悩みを聞き、一緒に考えていきたい

 宮城県仙台市内の相談事業所に、平成30年(2018)から勤める渡邊さん。日々、障がいがある人などを訪問し、困ったことや悩みを聞き、少しでも解消できるように一緒に考えている。

 例えば障がい年金の受給の手続きを手伝ったり、地域の障がい者支援施設や病院と連携して、ヘルパーや訪問看護師の派遣を仲介するなど多岐にわたる。渡邊さんは次のように話す。

 相談に来られる方の中には、心の病や知的障がいを抱える方も多いです。借金が膨らんでしまったり、生活の目処が立たない厳しい経済状態に陥っているケースもあります。

 私が心がけていることは、相手のつらい気持ちをよく聞いて、理解し、生きがいと幸せを感じられるようになるにはどんな支援の形がいいのか、一緒に考えることです。

 そうしていく中で、利用者の方から、「年金が貰えて、なんとか暮らしていけています」「就職が決まりました!」などと連絡が来た時には、本当に嬉しくなりますね。

 渡邊さんが、社会的に弱い立場の人を支える福祉の仕事を選んだのは、父親の四郎(しろう)さんの影響も大きいという。

 私の父は青年時代に太平洋戦争を経験し、終戦後の混乱期に苦しんでいた女性たちの生活と権利向上を目指す社会運動に取り組んでいました。

 その日その日をやっと生きているような女性や子どもたちを放っておけず、休日も返上して多くの人の力になっていた父。いつも家に居なくて寂しい思いをしながらも、心では尊敬していました。

 そんな渡邊さんが霊友会に入会したのは平成11年(1999)のこと。宮城県の地域のボランティアで知り合った女性から、「亡くなった両親の供養ができるのよ」と聞いたことからだ。夫と2人の子どもたちも入会。一緒に先祖供養の教えを実践してきた。

 私が仕事の人間関係に悩んでいたある日、家族と一緒にお経をあげていると、ふと、両親が優しく見守ってくれているように感じました。より一層教えに取り組むようになってからは、たびたび弥勒山セミナーに参加しました。全国から集まった人たちと語り合い、自分自身を振り返りました。

 地元で大変お世話になった故・佐藤紀美枝(さとうきみえ)支部長から教えられたのは、もっと感謝の気持ちを持って人と接すること。支部長が、まわりの人の幸せを本気で願って教えに取り組んでこられた姿が心に残っています。

 私は仕事はもちろん、何をするにも相手への思いやりが大切だと学べたのです。

 |   「毎日気にかけてくれたから、
              私も『生きよう』と思えたのよ」

 平成23年(2011)に東日本大震災が発生したとき、渡邊さんの家族は幸いにも全員無事だった。しかし甚大な被災状況を知った渡邊さんは、大切な家族や生活の基盤を失った人の気持ちを思うとじっとしていられず、生活困窮者を支援する団体に所属し、仮設住宅への慰問活動にあたった。

慰問していた仮設住宅の跡地に訪れた渡邊さん。「ここには100人以上の被災者が住んでいました。私たちはあそこの集会所でよく語り合っていたんです」という

 避難している人たちは、生活を再建できる目処が立ち次第、仮設住宅を出ていかれます。けれども、障がいのある人や、家族を失って心身に傷を負った人たちなどは、どう生きていけば良いのか分からず、取り残されていました。

 避難生活のつらさで体調を崩したり、将来を悲観しての震災関連死も増加していたのです。私は、「せっかく助かった命が失われるなんて……。もう一人たりとも、孤独の闇に取り残したくない!」と強く感じました。

 渡邊さんは培ってきた福祉の知見を生かしつつ、多くの被災者のもとに毎日通った。地元の仮設住宅から最後の世帯が平成28年(2016)に退去するまで、生活支援を続けた。

 ある夫を亡くした高齢者の被災者が退去する時、「渡邊さんたちが毎日気にかけてくれたから、私も『生きよう』と思えたのよ」と言ったときは、胸にこみ上げてくるものがあった。

利用者からの相談を受けて車で訪問する渡邊さん

 今、「自分のことだけで精いっぱいだ」とギスギスした風潮が社会に広がっているように感じます。しかし、自分の力ではどうにもならない状況になってしまうことも、現実には起きるのです。

 まずは、思いやりの心で困っている人に手を差し伸べていく。そして、孤独に悩んでいる人が、自分の人生を自分の手で切り拓いていけるようになるまで見守っていく。微力ではありますが、困っていた人が少しずつ元気になれたら、「やってきて、よかったな」という気持ちでいっぱいになります。

 私たちは霊友会会員としても、そんな喜びを、もっと多くの人に広げていきたいと思います。