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ボランティア

2023.8.1

生きづらさを抱える子どもたちが
ほうっておけなくて

栃木県宇都宮市 夢作志(むさし)学院

 全国で小中高生の不登校児童生徒の数は、令和3年度(2021)時点で29万人以上(※1)。年々増加の一途をたどっている。こうした現状の中、学校以外で学んだり友達と過ごしたりできる居場所として存在するのが、フリースクールだ。

 「ありがとう こだま 基金」支援先の一つである「夢作志学院」では、全国から多くの不登校等の児童を受け入れて、子どもたちがのびのびと成長できるよう、独自の教育方針で運営している。

|   子どもたちが
       生きていくための力を育む

 「夢作志学院」が設立されたのは平成15年(2003)。学校に行けなくなった子どもたちのために、通信制高校とフリースクールを開設し、夜間は大学受験目標を中心とした進学塾も開講している。

 代表取締役を務める佐藤隆行さん(66歳)は、学習塾に勤務していた頃に、栃木県内だけでも小中学生の不登校児童が、6000人以上もいることを知り驚愕した。学校に行けずに生きづらさを抱える、多くの子どもたちの力になりたいと強く思い、「夢作志学院」を開校した。

 「夢作志学院」では、不登校や非行など、様々な〝生きづらさ〟を抱える子どもたちを受け入れてサポートしている。また、発達障がい(※2)のある子どもたちも受け入れている。佐藤さんは彼らと接する中で、子どもたちの「やる気」や「自信」が育たない一つの要因に、親が子どもを必要以上に大切に育ててしまうことがあると言う。結果、子どもたちの考える力を削いでしまっているのだ。

 そこで「夢作志学院」では、何事も子どもたちが自分で考え選択をする、自主性を身につけることを大切にしている。例えば、調理実習。誰とグループを組むか何を作るかを考えてもらい、材料調達や調理も自分たちで行う。生活に密着した経験を通して達成感を味わうことで、人とのコミュニケーションの向上、自分で選択する力の養成につなげ、将来、生きていくための力を育むことが狙いだ。

調理実習の時間、パティシエからケーキ作りを教わる生徒たち

文化祭の目玉イベントである書道パフォーマンス。 「夢作志学院」に在籍する生徒たちが共に活動することで、絆がより深まる

|   生きづらさを抱える人たちの
       支えになりたい

 すべての子どもたちが幸せに過ごせるようにと、日々奮闘する佐藤さんと「夢作志学院」を応援しようと、霊友会は平成28年(2016)から「ありがとう こだま 基金」で支援。情報処理の授業で使うパソコンや、音楽の授業で使うウクレレの購入に基金が活用された。

生徒たちが使用しているパソコンは「ありがとう こだま 基金」で購入したもの


ウクレレの音色は心が癒されるということから音楽の授業に取り入れたという佐藤さん

 また「ありがとう こだま 基金」とは別に、平成25年(2013)には開校10周年を記念して霊友会の会員たちが、パイプ椅子や「夢作志学院」の刻印が入ったスリッパを寄付。コロナ禍前には、近隣に住む霊友会の会員が文化祭の手伝いに行ったり、映画鑑賞会を開いたりと、盛んに交流してきた。

 将来の展望について佐藤さんに話をうかがった。

 今は学生たちの支援に全力を尽くしていますが、いずれは、幼児から高齢者までをサポートできる体制をつくっていきたいと考えています。その第一歩として、まずは「夢作志学院」の教育方針を知ってもらい、特に発達障がいを抱える子どもたちの理解を促進しようと、開校20年記念事業として「夢作志の和 3000人プロジェクト」というクラウドファンディングを行いました。「夢作志学院」の活動を通し、誰もが共生できる、幸せだと思える社会づくりに貢献していきます。

(※1)文部科学省「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」より
(※2)生まれつき脳の機能に違いがあることが原因とされる。特徴は、落ち着きがない、人とコミュニ
   ケー ションがとれない、文字が書けないなど、人によって様々。