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REIYUKAIボランティア

REIYUKAI
ボランティア

2022.9.30

子どもたちを笑顔に。

道化師(クラウン)F.Sさん(52歳)

児童福祉施設の納涼祭で子どもにクマのバルーンアートをプレゼントするF.Sさん

|   幸せを願って力を尽くす道化師

 愛知県碧南市で、障がいのある方が通う地域活動支援センターを運営しているNPO法人の理事長を務めるF.Sさん(52歳)。彼は、ボランティアで道化師(クラウン)の活動を長年続けている。

 日本では道化師の一種であるピエロが広く知られている。幼稚園や保育園、地元の祭りなどの各所で公演を続け、これまでの22年間で300回以上行ってきたという。

 今年8月、愛知県にある児童福祉施設で催された納涼祭で、Fさんは主催者の要請に応えてボランティアで参加。赤い付け鼻と真っ白な肌、大きな靴、トランクケースを持って、ひときわ目を引く道化師の格好で会場を歩き回る。

 すれ違った親子は彼を指さして、「あれってピエロだよね?」「遊んでもらえるかな?」と興味津々。彼はそれを見て、トランクから道具を取り出し、様々なマジックやパントマイム、バルーンアートを次々と披露。集まった人たちの間で歓声と笑顔が広がっていく。

道化師の仮装をするために化粧をするFさん

|   私がボランティアで道化師を始めた理由

 長年、こうした活動を続けているFさんに話を伺った。

 私が道化師の活動を知ったのは平成12年( 2000 ) です。愛知県碧南市の職員として働いていた当時、担当していた地元の夏祭りで、市民がパフォーマンスを披露する舞台がありました。その前準備として、私の部署で全10回のパフォーマンス講座を企画。そこに講師として来てくださったのが、道化師の育成に取り組まれている方だったのです。

「サーカスにおける道化師は、訪れたばかりのお客さんを喜ばせたり、ショーの合間にみんなを盛り上げたりと、楽しい舞台に欠かせない名脇役です」と教わりました。普段から場を盛り上げることが好きな私はその役割に、かっこいい! と惹かれたのです。同じ講座に参加した仲間と一緒にサークルをつくり、ジャグリングや様々な芸を学びました。

 Fさんは、地元で開かれた「愛・地球博」(2005年日本国際博覧会)にボランティアとして参加したとき、同じ班で働いていた宇井夕香さん(52歳)から霊友会に導かれた。

 宇井さんは道に迷っていそうなお客さんに積極的に声をかけ、困っている同僚にも気を配り、「お手伝いしますよ!」と手助けをしていました。周りを自然と笑顔にする彼女を見習いたいと思いました。

 彼女から自らの手で先祖を供養する霊友会の教えについて聞いたとき、私は今まで意識していなかった自分のルーツに思いを馳せ、入会しました。

 それから支部のつどいに参加するようになり、様々な体験談を聞いて、人に喜んでもらおうと率先して行動している姿に感銘を受けたのです。私も自分にできることは何だろうかと考えたとき、2000年に講習を受けてから身に着けた道化師という特技を生かして、多くの人たちに元気になっていただきたいと思いました。

|   ステージに立つ不安と喜び。子どもの声援に心が動く

 平成23年(2011)10月、Fさんは東日本大震災で被災した現地の市役所を支援するために、宮城県塩竈市に2カ月間滞在。仕事の合間の休日には、同県亘理町でのボランティア活動にも取り組んだ。

 霊友会の会員も全国から駆けつけていて、私も一緒に、仮設住宅に住む被災者に毛布を届けたり、軽食やお菓子、カイロの配布をしました。被災者の方に支援をとても喜んでいただき、私も心が温まったのです。

 また、塩竈市役所に道化師として何かお役に立てることはないかと相談すると、各所から公演の依頼が届きました。その中で、ある保育園の先生から、町を呑み込んだ津波のことや、大きな余震が続く中で子どもたちが不安を抱えて過ごしている実情を伺いました。「私の芸で、傷ついた子どもたちは笑ってくれるのだろうか?」と不安も……。

 でも公演では、皿回しをしたり、ステージに呼んだ先生に風船で作った耳と尻尾をつけて、バナナを持たせてサルに変身させたりすると、子どもたちは大盛り上がりでした。

 そして舞台裏に去ろうとしたとき、「また来てねーっ!」と、子どもたちが声をかけてくれたのです。涙があふれてきて、「ぜったいに、また来るよ!」と返すので精いっぱい。自分の芸で少しでも元気になってくれたのかと思うと、言葉では言い表せない嬉しさを感じました。

 それから1 年。私は約束を果たすために1週間の有休を取り、その保育園を含めた8カ所で公演しました。

平成23(2011)東日本大震災の被災地で、保育園の子どもたちの前で公演

最後にFさんは、私たちにできる社会貢献活動について話してくれた。

 私の短い公演を観てくれた子どもたちが、「面白かったよ!」と家族に興奮しながら話してくれていると聞きました。家族団欒のきっかけに、未来の日本を担う子どもたちの幸福に、少しでもお役に立てたらと願うばかりです。

 ゴミ拾いをしたり、友だちの悩みを聞いたり、自分が人にされると嬉しいことをやってみることが第一歩だと思います。私はたまたま道化師という手段がありましたが、日々の暮らしの中で、相手に笑顔になってもらえることを意識して見つけていくことが大事ですね。

名古屋市で行われた「ワールド・クラウン・フェスティバル・イン・ジャパン2017」に参加。他の出演者とFさん(中央)