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REIYUKAIボランティア

REIYUKAI
ボランティア
2025.6.1
孤独な時代だからこそ
地域のコミュニティが大切
町内会副会長 荒井 江利さん(52歳)

人の力になれる喜びが荒井さんの原動力
愛知県名古屋市の町内会で長年活動を続けている荒井江利さん。仕事と子育てをこなしつつ活動に力を注ぐ背景には、霊友会の社会貢献の精神と、一緒に活動する仲間との絆があった。高齢化や人々の生活スタイルの多様化により、町内会の担い手は全国的に減少している。地域社会への関心も薄まりつつあり、町内会運営が曲がり角を迎える今、活動を通じて実現したい地域社会の姿とは何か。荒井さんに話を聞いた。
人と人が支え合える地域社会を
| 子どもの進学を機に地域活動に参加
自営業の夫の利一(としかず)さん(53歳)と2人の娘を育てる荒井さんが、地域活動に初めて参加したのは11年前。長女の来海(くるみ)さん(17歳)が小学校に入学したのを機に、子ども会の活動に関わったことがきっかけだった。
22年前に今の地域に引っ越してきてからしばらくは、ご近所の方と接したり、地域に溶け込むような機会はほとんどありませんでした。子ども会の活動に加わったのも、「子どもが入りたいと言っているし、断るわけにもいかないし……」という気持ちだったんです。
最初は知らない人ばかりでしたが、子ども会や町内会で活動していると、徐々に地域の方々と接点が増えていきました。子育てのことを気軽に相談し合える友達もできて、何か悩んだり、困ったときにはいつも支えてくれたんです。地域のつながりの大切さを実感しました。
地域活動や定例行事は、子どもたちの交流の場としても大切だと荒井さんは語る。地元の篠原八幡社で開かれる盆踊り大会などには、荒井さん一家も毎年のように参加してきた。
地域の方々に温かく見守られながら、子どもたちが心から楽しんでいる姿を見ると、私もうれしくなります。「この町が大好き」と言うお子さんも多いんですよね。いつか大人になってこの町を離れたとしても、いつでも戻ってこられる居場所をつくる活動は、大切なことだなと実感しています。

地元の学童クラブのキャンプで行われた流しそうめん。荒井さんは娘たちが学童を卒業するまで運営にも積極的に携わった
その後、ゴミステーションの管理やゴミ出しのルール周知などを担当する保健環境委員を経て、荒井さんは3年前から2年間、町内会長を担った。
町内会の役員を長年続けている女性から、「町内会長をやってもらえないか」とお願いされたんです。当時、中学生と小学生の娘2人を育てながら、義母の在宅介護もしていました。私に務まるのか不安で、一度はお断りをしたんです。ですが、「全力でサポートするから」と何度も声をかけてくださったこともあり、最終的には「私にできることだけでも頑張ってみよう」と思って引き受けました。

ルール通りにゴミが捨てられているか確認するのも仕事の一つ
| 仲間との絆で人手不足を乗り越える
地域行事は休日に行われることが多く、早朝から始まることも少なくありません。また、町内に回覧するお知らせなども定期的にあります。特に年度始めは資料が多いので、夜遅くまで自分で仕分け、町内会の役員の家にポスティングするんです。町内会の活動と仕事との両立は、本当に大変でした。
町内会の活動は常に人手不足がつきまとう。役員就任を依頼しても、家庭や仕事を理由に断られることが多く、担い手の確保には毎回苦労していると話す。
人手不足が続く中でも続けようと思えるのは、一緒に活動する仲間たちの人柄によるところが大きいです。いつも役員を引き受けて活動を支え続けてくれる方や、自分が忙しいときも仲間を気にかけて、場を明るく盛り上げてくれる先輩の女性。それぞれの地元への思いを胸に取り組む仲間と出会えていなければ、活動は続けられていなかったと思います。
実際に町内会長を引き受けてみると、仲間と協力して取り組む面白さを感じるようになったんです。大変なこともありましたが、地域の仲間たちが一生懸命頑張っている姿を見ていると、「私も、できる限りのことをしよう」と力をもらいました。

5月11日、篠原八幡社の清掃活動に参加。毎年盆踊り大会などが開かれる境内を、地元の人たちと一緒に綺麗にした
| 人との縁に支えられ前向きに挑戦
霊友会の教えを実践していることも、町内会活動へのモチベーションを保てている要因の一つと話す荒井さん。人のために行動することに価値を見出す姿勢が、地域活動への前向きな気持ちにつながっている。
霊友会に入会したのは20歳の頃です。夫とよく通っていた飲食店のオーナーからつどいに誘われ、「親孝行を実践する教え」と聞いて興味が湧き、夫と入会しました。

若い頃からの趣味のサーフィンを楽しむ。夫の利一さんとは共通の趣味で、夫婦仲も円満だ
支部や地域のつどいに参加するようになってから、職場の人間関係に悩んだり、仕事と町内会活動の両立で悩んだときはよく相談していました。いつも私の話を聞いてくれる西部亜希子支部長や、励ましてくれる支部の仲間たち。私の娘たちと仲良くしてくれる霊友会青年部の友達にも、感謝の気持ちでいっぱいです。
自分1人で思い悩むより、誰かと一緒に、人の役に立てることに取り組んでいくと、自然と気持ちも前向きになれる。霊友会の先輩たちが身をもって教えてくれたことと、地域活動には、通じるところが多いなと日々感じます。
あるとき支部長からの、「毎日お経をあげると、先祖があなたを応援してくれるのよ」という言葉が心に残りました。以来、お経をあげながら「順調に活動ができるように」と先祖に念願しています。自分を振り返り、「もうちょっと頑張ってみよう」と思ったときには、人とのご縁や、先祖が背中を押してくれている気がして、前向きな気持ちになれます。

西部亜希子支部長(左)、次女の希海(のぞみ)さんと自宅でつどい。お互いの話は尽きない
| つながりが生む力を次世代に残したい
性別や世代に関わらず誰もが働く現代では、地域活動に積極的に参加する人は減ってきている。荒井さんは地域社会のつながりを、未来を担う青年や子どもたちに残していきたいと話す。
町内で防災訓練を重ねていると、災害や有事の際には、普段からのつながりが大切だと実感します。例えば安否確認をしているときに、「誰がここに住んでいたのか」「子どもはいたのか」といった情報が共有されていないと、助け合いが難しくなります。個人情報がデリケートに扱われる現代だからこそ、家族構成や住民の情報をお互いに知っておくことは大きな助けになります。

町内会が地域住民に発信する掲示物の設置は、町内会長が担っている
他にも、体が若いうちは何とかなると思っても、いざ年齢を重ねて困りごとがあったときに声をかけてくれるのは、やはり近所の方々です。少しでも多くの方に地域に関わっていただき、ここに住んでいる仲間だと感じてもらえることが大切だと思っています。
そして、ぜひ町内会の活動に参加していただけたらうれしいです。
<社会貢献 まめ知識>
高齢者の不安を解消
地域支援の輪を広げよう
高齢者の孤独や不安を和らげるためのボランティア活動の重要性が強まっています。内閣府によれば、東京23区で1人暮らしをしている65歳以上の方の孤立死は、平成14年の1,364件から平成20年には2,211件と増加傾向です。こうした中、地域の支援が高齢者の心の安心に寄与すると注目されています。
ボランティア活動の中で手軽に始められることの一つが「見守り活動」です。定期的に顔を合わせて声をかけることで、高齢者が困っている際にすぐに気づくことができます。また、定期訪問や買い物支援、送迎サービスなどと並行すれば、高齢者の生活がぐっと楽になり、自立した生活を送りやすくなります。
地域で行われる食事会や交流イベントも大きな役割を果たします。週に1度の料理教室や公共施設でのランチ会などは、参加する高齢者にとって日常生活での楽しみの一つです。こうしたイベントを通じて、参加者同士のつながりが生まれ、孤独感の軽減につながります。
地域全体で支え合い、小さな支援を少しずつ積み重ね、温かな地域をつくり上げていきましょう。




