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REIYUKAIボランティア

REIYUKAI
ボランティア

2024.6.1

夢を追いかける子どもたちへ
思いやりの心を伝えたい

 人は誰もが支え合って生きていることを、子どもたちに伝えたい―。チームスポーツのサッカーを通じて地域の子どもたちを育て、将来、この社会で力強く羽ばたいていけるようにと力を尽くす人を紹介する。


少年サッカー指導者 小野 清隆さん(64歳)

|   地域から選抜された子どもたちにサッカーを
       教えるボランティア

 小野清隆さん(64歳)は、東三河地域(※)の少年サッカーチームから選抜された「東三河トレセン(トレーニングセンター)」のコーチを務めてきた。40年以上にわたって小・中学校の教師を勤め上げた後も、子どもたちにボランティアでサッカーを指導している。小野さんはこう語る。

 私がこれまで教えてきた子どもたちも、今ではこのトレセンで一緒にコーチをしています。大人になった彼らが子どもたちに誠実に接し、情熱を込めて指導する姿を見るのは、とても嬉しいですね。

 豊川市で生まれ育った小野さんがサッカーを始めたのは中学生の時だった。仲間と一体となって勝利を目指すサッカーに夢中になった。また同じ時期に、ある青春ドラマを見て、子どもたちのために全力を尽くす教師に憧れて教職に興味をもったという。


サッカーが上手くなりたい、いつかプロになりたい…それぞれの思いを胸に努力する子どもたちに温かく声をかける


小野さん自身も、選手として東三河地域のシニアサッカーチームに所属。今年4月のリーグ戦では先発出場を果たした

 祖母の代からの霊友会の会員である小野さんにとって、教えは自分の基盤となるものの一つだという。高校生の頃から青年の弥勒山セミナーに参加をするようになった。

 そこには私と同世代の青年たちが全国から集まっていました。初対面なのに、私に明るく声をかけてくれた先輩や、教師になりたいと思う私の夢を応援してくれた人……。いろんな人と出会えて、こんなになんでも真剣に語り合える場所は、他にないと思ったんです。

 その後、仲間と一緒に弥勒山の運営者も務めました。来てくれた人たちの誰もが心に残るような楽しいレクリエーションを、夜遅くまでみんなで考えました。人を思い、力を合わせて企画を成し遂げていく経験と達成感は、今の活動にも生かされています。

 その後、小野さんは東三河地域の中学校の教員になり、保健体育を教えながら、サッカー部の顧問・監督を務めるようになった。

 教職に就いてから、いろんな子どもたちと向き合う日々でした。放課後や休日も仕事と部活に費やされましたが、やりがいを感じていました。

 30歳で結婚し、いつも側で見守ってくれた妻の季世子(55歳)と私は、支部のつどいに一緒に参加してきました。お世話になった支部長や先輩からよく教えられたことは、「周りの人たちや、自分に起こった出来事にも、すべてに感謝をする」ということでした。

 4人の子どもを育ててくれた妻や、幼い頃からサッカーを始めて成長していった息子たちや娘たち。いつも私たちを気にかけてくれた支部長……。忙しい日々が続いても、私は家族をはじめ多くの人たちから励まされ、心から感謝する思いでした。


子どもが幼かった頃、支部の豆まきのつどいに参加した小野さん(右端)

 そんな実感から、私は子どもたちに、「人間は自分一人で生きているのではなく、人と関わる中で成長し、常に助け合っている」ことを伝えたいと思ってきました。

|   サッカーを学ぶだけじゃない。
    この社会で幸せに生きていくために

 小野さんは東三河サッカー協会主催の大会の運営や、東三河トレセンでの指導を頼まれるようになった。そこで、ある問題を目の当たりにした。

 当時の東三河トレセンは弱小チーム。他地域のチームには勝つことができませんでした。私が試合の勝敗以上に深刻に感じたのは、「負けても仕方がない」と諦めているような空気が、試合前からチームの子どもや親御さんたちに生まれていたことです。

 子どもたちの成長に、成功体験はかけがえのないものです。今のままでは子どもたちがサッカーを嫌いになってしまうばかりか、自信をつかむ機会を失ってしまうと思ったのです。

 まず小野さんは、試合に勝つ喜びを子どもたちに感じてもらうためにチームの強化を図ると共に、サッカーを通じての人づくりに取り組んだ。

 サッカーは、どんなに優れた選手でも、自分一人では試合に勝てません。一緒に走るチームメイトを思い、パスを渡し、力を合わせてゴールに向かうチームスポーツなのです。

 そして、リスペクトとフェアプレーの精神をもつことが大切だと教えました。試合をしてくれる相手に感謝し、侮(あなど)らないこと。仲間を大切にし、蔑(ないがし)ろにしないこと。勝負の中でも人を思いやること。サッカーに限らず、この社会に生きる一人の人間として大切なことを学んでほしいと、指導に当たりました。少しずつチームが強くなっていくと、子どもたちは「自分たちでもやればできるんだ」と自信をもち、彼らの目は生き生きと輝いてきました。


ボール回しの練習をする子どもたちを見守る小野さん


練習が終わり、保護者と子どもたちに連絡事項を伝える

 子どもたちの成長には、家族や教員、指導者だけではなく、同じ地域に住む大人たちが果たす役割も大きいと私は実感しています。私たち一人ひとりが自分にできることに取り組むことで、地域の子どもたちが、人を思える一人前の大人になってくれれば、私自身、これ以上幸せなことはありません。

※東三河地域=愛知県東部の豊橋市を中心とする8市町村の地域