社会を学ぶ

 環境と経済への影響はもちろんのこと、食品ロスで引き起こされる大きな問題は食の不均衡です。世界全体で人口は77億人いると言われています。しかし、発展途上国を中心にその9人に1人にあたる8億人が飢餓状態にあり、栄養不足といわれています。彼らを援助するための食糧量は約390万トンが必要。その一方で、先進国で食べ物が余っており、捨てられているという現状があります。日本だけでも援助に必要な食糧量の1.5倍の食糧が捨てられています。このように先進国ではフードロス(食品ロス)が生み出されている一方で、途上国においての飢餓という不平等が大きな問題になってきています。

 買い物で買いすぎない。調理時は、無駄を出さない。外食時では、食べ残しが出ないようにする……など。まずは、毎日できることから始めてみませんか?

「もったいない」精神で、社会に貢献したい!

 昨年、青年部執行部の古門桜和さん(高2)が、「高校生『下関』カレー甲子園」で最優秀賞(東亜大学長賞)を受賞しました。  

 SDGs(持続可能な開発目標)の中で挙げられる課題の一つ、食品ロスが大会のテーマ。古門さんは、食材を皮ごと使用し、エネルギー消費にも配慮したアイデアカレーを考案。炊飯器とフライパンで簡単に調理できるレシピが高く評価されたそうです。古門さんに話を聞きました。


青年部執行部 古門桜和さん

 私は料理が大好きです。小さい頃から家で晩ごはんのお手伝いをしていたのがきっかけ。学校でも料理のことを学びたいと、より専門的に学べる学科のある今の高校を選びました。

 その高校の授業で食品ロスについて調べました。日本では、一人当たり毎日お茶碗1杯分の食品ロスが出ていること。その一方で、近年、食べるのに困る家庭も増えていること。世界中の貧しい国や地域では、食べるものがなく、餓死する人がたくさんいること。

 私は毎日お腹いっぱいご飯を食べられ、幸せに暮らせているけど……。青年部執行部として「世の中に貢献していきましょう」とたくさんの人に呼びかけている自分が、もっと社会に貢献するアクションを起こさないと!という気持ちになりました。少しでも食品ロスを減らし、社会の役に立ちたい。その思いを、私が学んだ知識を活かして全力で届けられるカレーを作ろうと、今大会に応募したんです。

 レシピを考えていく中で、日本で多くの家庭から出ている食品ロスのうち、食べられる部分も捨ててしまう「過剰除去」に着目しました。どうすれば食材の皮を使っても口当たりを良くできるか、子どもからお年寄りまで誰でも食べやすい料理にできるか。また、エネルギー消費を削減するという観点から、簡単に調理できるという点もすごく考えました。

 資料選考を通過し、大会本番では実際にカレーを作り、プレゼンをしました。私は中学生の頃から青年部やNLAの活動を通して人前で自分の意見や思いを話す経験をたくさんしてきたので、大人の審査員が8人もいる前でも緊張せず、自信をもって臨むことができました。

 最優秀賞を受賞して、友達からもたくさん声をかけられ、社会貢献について話す機会が増えました。また、今回考案したカレーを、先日、ショッピングモールの地産地消コーナーで販売させていただきました。より多くの人に、食品ロスのことを知ってもらうことができたんです。

 以前は「社会の問題」と言われても、スケールが大き過ぎて自分にはピンときませんでした。でも、私は今回の経験を通して、一人ひとりの行動できっと社会は変えていけると感じました。まずは自分で調べたり、誰かに聞いたり、知ることから始まるんだと思います。

古き良き日本の「もったいない」精神を大切に、これからもっと周りの人に自分の知識や体験を伝え、社会に役立つ青年になっていきます。

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テレビ山口で取材・放送された古門さんのニュースが、同局のYouTube公式チャンネルで公開中です!
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