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REIYUKAIボランティア

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ボランティア
2025.11.1
里親家庭を支え、地域とつなぐ
子どもリエゾンえひめの挑戦
認定NPO法人「子どもリエゾンえひめ」

左から塩崎千枝子理事、アドバイザーの塩崎恭久さん、山内幸春センター長
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認定NPO法人「子どもリエゾンえひめ」は、令和5年(2023)1月に発足し、翌年8月からは愛媛県の委託を受けて「里親支援センター子どもリエゾン」を運営している。すべての子どもが愛されて育つ社会の実現を目指し、里親制度の普及・推進に尽力する。里親は養子縁組と異なり法的な親子関係を結ぶわけではないが、子どもを温かい家庭に迎え入れる役割を担う。
霊友会は令和6年度(2024)から「子どもリエゾンえひめ」に「ありがとう こだま 基金」を贈呈し、その活動を支援している。今回は、塩崎千枝子理事、山内幸春センター長、そしてアドバイザーの塩崎恭久元衆議院議員に話を伺った。
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| 里親制度の普及と伴走支援の両輪を大切に
「子どもリエゾンえひめ」の活動内容は多岐にわたる。里親の希望者を募り、専門研修を行い、支援が必要な子どもと里親をつなげ、里親家庭と伴走し続ける。しかし、里親委託率はまだまだ低く、全国で代替養育(※)を必要とする子どもら全体の約25%に過ぎない。愛媛県では、令和11年度(2029)までに、とくに3歳未満児の里親委託率を83・3%に引き上げるという高い目標を掲げているが、この目標の理由とは-。
アドバイザーの塩崎恭久さんは、
子どもにとって親などの養育者である特定の大人との深い信頼関係を築くことは、健やかな成長に必要不可欠です。特に0歳から2歳の乳幼児が、お腹が空いたり、何かをしてほしかったりする時に発するシグナルに対して、大人が甘えさせてくれ、応答してくれる環境が欠かせません。この関係性を築くプロセスが「愛着形成」なんです。この基盤が欠けてしまうと人間関係が上手くいかず、その後の人生に大きな影響を及ぼします。
と話す。
塩崎千枝子理事は、
乳幼児のお世話は大変です。里親にベビーカーやベビーベッドなどの育児グッズを貸し出したり、相談にのります。地域に、昔の日本にあったような井戸端会議的な助け合いのネットワークをもう一度作れないかと思っています。
その一つが、「まちカフェ リエゾン」です。地域の里親さん同士が日々の悩みや課題を気軽に話し合う場を作り、横のつながりを広げることでお互いを支え合うきっかけにしたいと思います。
と言う。

月1回程度に開催している「まちカフェ リエゾン」。地域の里親さんたちとの対話・交流の場
このような助け合いの精神は霊友会の教えにも通じている。専門家を招いて里親養育などについて学ぶ「子どもリエゾンえひめフォーラム」には、霊友会会員も参加。その内容に感銘を受けて自らの子育てを見つめ直すきっかけになったという声も多い。しかし、まだまだ課題は山積している。山内センター長は、次のように話す。
現在、私たちが担当している里親は約150世帯ですが、実際に子どもを迎え入れているのはそのうちの50世帯です。まだまだ受け入れ可能な里親を広く募集しなければなりません。
フォーラムを開催して地域の人々に里親制度や子どもたちの現状について知ってもらったり、「リエゾンマルシェ」を開催して、地域のみなさんに楽しみながら里親に興味を持ってもらう。また、県内各地に出向いて里親説明会も行っています。

「リエゾンマルシェだんだん」での催しの一つ、松山東雲女子大学の学生による絵本の読み聞かせ
これらの活動を通じて、里親への関心が高まるよう、地道に取り組んでいます。
| 地域とともに描く里親家庭のこれから
里親になった後も手厚いサポートは続く。今後は、さらに専門的な里親研修や、里子の自立支援も視野に入れた包括的な活動にも取り組む予定だ。最後に塩崎理事が、今後の展望を話してくれた。
里親が孤立しないよう「リエゾンゼミナール」で共に学ぶ場を設けています。里親家庭へのきめ細かい相談・支援も欠かせません。乳幼児を専門に受け入れる「乳幼児里親」の開拓や、障がいや病気、さまざまな特性を抱える子どもへの対応を学ぶ専門的研修も必要です。また、原則として18歳になると里親委託が解除されるので、それ以降の自立支援もこれから取り組むべき大切な課題です。

「リエゾンゼミナール」。子どもを養育する上で里親さんたちに知ってほしいテーマを取り上げて開催するセミナー。里親さんたち対象の勉強会の場
「里親をしてるなんて偉いね」と言われる風潮がまだ残っており、里親への理解は十分とは言えません。少子化が進む一方で、支援が必要な子どもは増え続けています。社会全体が当たり前のこととして助け合いながらすべての子どもを育てるという意識改革が必要です。
そのために愛媛から全国に発信を続け、これからの里親を考え行動し続ける。この使命を胸に、これからも霊友会の方々のご支援を賜りながら、子どもたちが家庭的な環境で笑って過ごせる社会を築いていきたいです。
(※)親と離れて暮らす子どもたちを施設や他の家庭で養育する社会的養護の一環。乳児院、児童養護施設、里親、ファミリーホームなど様々な形態があり、子どもの愛着形成に重要な「家庭養育」を優先し、小規模で家庭的な環境での養育が推奨される。




