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特別企画 青年部創立70年 弥勒山建立60年 恩師小谷喜美先生の思いを現代に-

2024.2.1

次代を担う青少年の育成こそ、
霊友会が国家・社会に果たすべき大きな役割

 霊友会は創立以来、久保・小谷両恩師が先頭に立たれ、さまざまな奉仕活動と社会事業に取り組んでいました。その実績が評価され、昭和28年(1953)3月、日本赤十字社から、小谷恩師がある要請を受けたのです。それは、戦後日本の福祉事業増進と、それを担うボランティア精神を社会に広げていくため、日本赤十字社の親善大使として、欧米各国の福祉施設および社会事業の視察をするというものでした。

ロンドンの英国赤十字社本社を訪ね、バーク顧問(左)と会談された小谷恩師。恩師の奥に写っているのは随行の濱口八重国友婦人会理事(後に第二十二支部長、第3代会長)

 そして同年7月、アメリカ、イギリスをはじめ、さまざまな国を歴訪された小谷恩師。その中で、英国赤十字社のバーク顧問と会談されたときのことを、小谷恩師は後年、次のように回想されています。

 欧米では、子どもたちにも小さい頃から社会奉仕の精神を教え育んでいる。今の我が国との違いはここにある。日本人には、社会への眼差しや思いやりが欠けている。

 しかし、法華経の精神に目覚め、菩提心をもって社会全体に大きく目を開けば、必ずや社会奉仕の精神は生かされる。

 小谷恩師は帰国後、奉仕活動と社会事業により一層取り組まれるとともに、「次代を担う青少年の育成こそ、霊友会が国家・社会に果たすべき大きな役割である」と明言。そして昭和29年(1954)、4月11日、霊友会青年部を発足されたのです。

|   青年部員に向けて話された小谷恩師の思い

 青年部創立に込められた小谷恩師の思いは、創立後さまざまな場で青年部員に向けて話された御説法の中でうかがい知ることができます。

 「みなさんがこの世に生を享(う)けたということは、目に見えないところの仏さまが授けてくださったものであり、その功徳、因縁、大いなる使命を担って、お互いがこの世に生まれたのでございます。

 ですから、青年部の諸君は異体同心となり一丸となって、この昭和の世代を担って一つの和となり、そうして世界平和のために貢献するところの大使命があるのです。ますます精進されまして、お互いが大きな力を担い、大きな因縁を信じて修行されまして、大いに国家に貢献する青年部の発展をお祈りさせていただきます」。

*昭和32年(1957)。第1回青年部全国大会での御説法から

|   弥勒山は、世の中の役に立つための自分をつくる場所

 小谷恩師が弥勒山の建立の念願に入られたのは、昭和30年(1955)頃だと言われています。日本は戦後の混乱期で、ヒロポンなどの覚せい剤がまん延し、青少年の心身を蝕(むしば)んでいることが大きな社会問題となっていました。若者の可能性が閉ざされていくことに危機感を感じられた小谷恩師は、青年部を創立された10年後の昭和39年(1964)、青年の修行の場として弥勒山を建立されました。

 小谷恩師は、『明法』昭和34年(1959)5月号で、次のように話されています。

 「霊友会をつくりましたときに、若い人たちを導いて育成することを、亡くなられた久保恩師はよくおっしゃっておられました。みなさんは、夏は七面山の修行、冬には寒の修行を行じておられますが、世の中の進歩とともに、それだけでは、みなさんが物足りないようにお考えになると思うので、念願をずっと続けておりました。そこで、弥勒山を建立して、世の中の役に立つために、社会の勉強あるいは仏教の勉強をしていただきたいと思ったのです」


昭和42 年(1967)に開催された、青年部弥勒山冬の修行(女子班)から。分科会で発表する参加者

|   大勢の仲間とふれ合うからこそ得られるものがある

 弥勒山での青年部の修行を、小谷恩師はこのように具体的に述べられています。

 「青年部はどうしても一年に二回くらいは集まって、一日は読経の修行をする。また一日は青年部の方々の修行された体験を伺う。そしてまた一日は社会の勉強をしておられる方々の講演を伺う。せめて青経巻だけでも書写をする。今後、青年部が社会に貢献し、使命を果たしていくためには、まずそういう修行をしていかれたほうがよろしいと思いまして、長い間の念願により、弥勒山を建立することになったのです。(中略)

 大勢の人が菩提心をもってこのご先祖ご供養の教えを生かしていけるようにというわけですから、決して難しいことではなくして、どなたでもできることなのです。朝寝をした人は修行によって悟らせていただくとか、親の言うことを聞かなかった人たちはいろいろな体験談を聞いたりして、修行は大勢でやったなら生きていくと思います。自分の魂は一つであって、自分の五体の中には他人の魂は入っておらないのですが、人に左右される心の動きというものを、青年部はつかんでいただきたいと思います」。

 日常生活で個々に修行するだけでなく、全国から集まった大勢の仲間と寝食を共にし、ふれ合うからこそ得られるものがある。自分の生活習慣は正しいのか、何気なくとった言動がまわりの人を傷つけていなかったか、困っている人を見て見ぬふりはしていなかったか……など。

 自分を見つめ直し、気づいたことを改めていく。その積み重ねの中で、自分を、まわりの人を、地域・国を良くしていく。弥勒山は、世の中に貢献する心をつくる場所なのです。